◆泌尿器科 編
泌尿器科は施設数自体が多くはなく、競合の少ないエリアであれば、広域からの集患が期待できます。また、診療所では男性の前立腺、女性の過活動膀胱などが疾患の中心となりますが、いずれも患者さんの大勢は高齢者ということになります。眼科、整形外科などとの親和性が高いことから、そうしたテナントが入居する医療モールでの開業も相乗効果が得られやすくなります。
≪ポイント≫
・現勤務先の通院患者さんを引き継げるエリア選定で安定的な収益が見込まれる
・普段の生活で馴染みの薄い診療科だけに、積極的な広報活動で受診医につなげるアプローチを実施
・性病や男性不妊に専門性を発揮する場合は、広域からの集患が可能なターミナル駅周辺立地でインターネットを用いた積極的な広報活動が不可欠
① 経営戦略・立地選定
泌尿器科の開業にあたっては、都市部を除いては、診療所施設数がまだ多くはないので、競合のないエリアの中で、広域から集患できるエリアを抽出することがポイントとなります。
競合医療機関数が少ないとはいえ、事業を確実に立ち上げていくためには、開業前の勤務先で継続的に診療を行っている患者さんを自院開業後も継続的に診療できるエリアであれば、収益の安定が見込めます。まずは、継続的に診療している患者さんの住所を地図上にプロットするなどして、そのなかで、継続して通院してもらえそうな生活動線のエリアを絞り込んでいくことが重要となります。
また、継続的な通院が期待できる患者ターゲットとなるのは、男性は、前立腺に関する疾患、女性患者の場合は、過活動膀胱などが受診の大半を占めることになりますが、いずれも高齢者が中心ですので、同じ年代層をターゲットとしている診療科(内科、整形外科、眼科など)との高い親和性から医療モールでの開業も集患において相乗効果が期待できます。
弊社の開業支援実績では、来院の間口を広げる施策として、泌尿器科だけではなく、皮膚科や内科をサブの診療科として標榜する場合もあります。このとき、他科との調整で医療モールの入居を断られるケースがありますので、事前の確認と柔軟な対応は必要になります。

一方、勤務医時代の前立腺がん術後の継続通院患者さんなど、開業後も安定的、継続的に通院いただける患者さんの利便性を考えた立地で、泌尿器科単科で開業され、成功されている事例もありますので、標榜科目を泌尿器科単科とするか、新患の間口を広げ、皮膚科や内科をサブ診療科として標榜するかは、経営戦略上、十分検討すべき内容と考えます。
泌尿器科の受診については、普段の生活では馴染みが薄く、どういった場合に泌尿器科を受診したほうが良いのか、開院前の広告活動(新聞折込チラシや自宅へのポスティング)で患者さんへアプローチすることが有効となります。また、ホームページを通じて医療情報を入手しようとする患者さんのご家族の受診行動も多く見受けられるので、ホームページ内の診療内容に関するコンテンツの充実、ブログやコラムなどの情報配信も効果的です。
そのほか、性病や男性不妊などの専門性を活かす開業形態も考えられますが、マイナーで専門性の高い診療内容で開業する場合は、広域から集患できるターミナル駅近くでの開業と、インターネット上の広告の積極的な活用が不可欠となります。インターネット上の広告においては、競合環境にもよりますが、多額の投資をしないと効果が出ないといったことも予想されますので、開院前の事業計画において、十分な広告費を見込んでおくことが必要です。
~株式会社日本医業総研 発行 診療所開業 ここで差がつく診療科別開業成功のポイント より~
★次回は 泌尿器科の事業計画 を掲載予定です
<過去のブログ>
消化器内科 ①経営戦略・立地選定 2023/6月更新分
消化器内科 ③職員配置・採用計画 ④プロモーション戦略 2023/8月更新分
循環器内科 ③職員配置・採用計画 ④プロモーション戦略 2023/11月更新分
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耳鼻咽喉科 ③職員配置・採用計画 ④プロモーション戦略 2025/11月分
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