◆泌尿器科 編
泌尿器科は施設数自体が多くはなく、競合の少ないエリアであれば、広域からの集患が期待できます。また、診療所では男性の前立腺、女性の過活動膀胱などが疾患の中心となりますが、いずれも患者さんの大勢は高齢者ということになります。眼科、整形外科などとの親和性が高いことから、そうしたテナントが入居する医療モールでの開業も相乗効果が得られやすくなります。
≪ポイント≫
・現勤務先の通院患者さんを引き継げるエリア選定で安定的な収益が見込まれる
・普段の生活で馴染みの薄い診療科だけに、積極的な広報活動で受診医につなげるアプローチを実施
・性病や男性不妊に専門性を発揮する場合は、広域からの集患が可能なターミナル駅周辺立地でインターネットを用いた積極的な広報活動が不可欠
②事業計画
泌尿器科の事業計画のポイントは、患者確保の間口を広げるために、単科の標榜とせず皮膚科や内科の併設の検討と、それに伴う収入計画(診療単価や患者数予測)の変動です。ややデリケートな診療領域だけに、皮膚科や内科を併設することで、特に女性患者さんの受診へのハードルを下げる効果が期待できるとされています。
泌尿器科を単科で標榜する場合は、収入計画での特別な考慮は不要ですが、皮膚科も標榜する場合は、診療単価が泌尿器科と比べて低い(泌尿器科5,000円~7,000円、皮膚科3,000円~4,000円)ので、別建てで収入計画を立てておく必要があります。つまり、泌尿器科のみを標榜している診療所と泌尿器科・皮膚科を標榜している診療所で同数の来院がある場合に、後者の方の1回当たりの診療単価が低くなり、月額収入も低くなるということになります。

人件費計画について、人員配置は、受付を常時2名、看護師を常時1名の体制での人件費計画で問題ありません。ただし、受付スタッフに尿検査の患者誘導など診療助手的な業務を依頼することがありますので、採用時に理解を得ておかなければ、採用後早期に退職を申し出られる可能性があり、想定外に求人費が嵩むことになりますので注意が必要です。
経費内容については、経営戦略、立地選定で述べたように、広域から患者さんを集める戦略が奏功するケースが多いことから、インターネットでの広告予算を多めに確保する必要があります。そうした場合、適切な予算を計上し、インターネット広告などの強化を図るようにします。
資金計画(開業時の貸借対照表を参照)に関しては、医療機器については、内視鏡の導入や、高額の院内検尿機器の導入を開業当初から行うかどうかによって投資額が変わってきます。ただし、私どもの泌尿器科の開業支援事例を見ると、内視鏡を導入しても、消化器内科や耳鼻咽喉科と異なり、実施件数はそれほど多く期待できるものではありませんので、収入に与えるインパクトは限定的です。院内検尿機器も高い診療報酬が算定できるものではありませんので、事業計画上は、単純に初期投資が増大するということになります。

また、内装工事については、診療内容の特性上、トイレを複数個所設置することが望まれることから工事単価を高く見積もっておく必要があります。
運転資金の確保という点については、地域ニーズに対して泌尿器科診療所が少ない場合は、比較的早期に事業が立ち上がるケースもありますが、マイナー科目で、かつ受診のハードルが高いことから、私どもの開業支援事例を見ても、患者数の積み上げに時間がかかるケースが実際にあります。最低でも開業後1年間分の月次の収支計画を立てて、損益分岐点を超えるまで事業資金が枯渇しないように、慎重に開業準備を進めていただくことが重要です。
~株式会社日本医業総研 発行 診療所開業 ここで差がつく診療科別開業成功のポイント より~
★次回は 泌尿器科の職員配置・採用計画 を掲載予定です
<過去のブログ>
消化器内科 ①経営戦略・立地選定 2023/6月更新分
消化器内科 ③職員配置・採用計画 ④プロモーション戦略 2023/8月更新分
循環器内科 ③職員配置・採用計画 ④プロモーション戦略 2023/11月更新分
呼吸器内科 ③職員配置・採用計画 ④プロモーション戦略 2024/2月更新分
糖尿病内科 ③職員配置・採用計画 ④プロモーション戦略 2024/5月更新分
小児科 ③職員配置・採用計画 ④プロモーション戦略 2024/8月更新分
整形外科 ③職員配置・採用計画 ④プロモーション戦略 2024/11月更新分
皮膚科 ③職員配置・採用計画 ④プロモーション戦略 2025/2月更新分
眼科 ③職員配置・採用計画 ④プロモーション戦略 2025/5月更新分
心療内科 ③職員配置・採用計画 ④プロモーション戦略 2025/8月更新分
耳鼻咽喉科 ③職員配置・採用計画 ④プロモーション戦略 2025/11月分
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