診療所開業 ~ 診療科別開業成功のポイント ~

◆循環器内科 編

循環器内科で獲得したい高血圧症や不整脈、動脈硬化症、狭心症といった症状の患者さんは一般的な内科を含め地域内での競合は避けられません。高い専門性を実践するための高機能医療機器の導入、実施する検査を加味した診療単価の設定、さらに地域によっては高齢者に多い合併症への対応等が患者さん囲い込みのポイントになります。

 

≪ポイント≫

・一般内科をメインとする場合は、現勤務先患者さんを定期受診者として引き継げる条件下でのエリア選定が賢明

・高齢者に多い広域な合併症への対応も患者さん囲い込みに有効

・専門性を打ちだす場合、心エコーやホルダー心電図などの比較的点数の高い検査の実施が、診療単価を効果的に押し上げる

 

③ 職員配置・採用計画

 

 循環器内科の職員配置、採用計画において前提として決めなければならないのは、エコー検査を先生自身が行うか、臨床検査技師を雇用して行うかの方針を明確にすることです。エコー検査を診療の合間や検査予約時間に先生自ら行う場合は、看護師常時1名、受付常時2名体制での採用計画を立てることになります。

 一方、臨床検査技師について循環器内科で必要とされる心エコー検査を行える臨床検査技師を求人広告などの公募で採用することは現実的には簡単ではありません。一般的に能力の高い臨床検査技師や超音波検査士などの有資格者は、待遇条件だけで安易に勤務先を変わることはありませんし、転職する場合でも紹介者を介す場合が多く、求人広告に頼って転職先を探すことはあまりありません。

 そのため、可能な限り勤務先病院の検査部門や臨床検査技師とのパイプを大切にし、病院がアルバイトを認めているのであれば、非常勤でのサポートをお願いするなど、人脈に頼った採用活動が効果的ですし、技術面でも安心感があります。その場合、あくまで仕事が休みの時の非常勤勤務となりますので、時給や日給を高めに設定することで、お互い気持ちよく仕事ができるものと思われます。

 ただし、約7割を女性が占める専門職だけに、出産・育児などの理由で退職していた臨床検査技師が、社会復帰のタイミングを計っているケースも十分に考えられます。医療専門職が多く利用する求人サイトに、心エコー検査ができることの前提で、一定の待遇条件を掲載すれば応募も期待できますので、一般公募も同時並行で行っていくとよいでしょう。

 看護師の配置は、常時1名でも十分に運営可能と考えられますが、看護師採用は、どの診療科でも困難なことから、病院勤務中に、開業後に採用したい看護師の目途を立てておくことが有効な手段となります。

 受付スタッフは、常時2名体制を確保すれば、患者さん対応や電話応対は十分です。ただし、新規開業の場合は、診療所勤務経験者を1人は確保しないと実務が回りませんので、病院勤務中に、医療事務能力や接遇能力に長けた人がいれば、開業後の採用を打診することも検討手段の一つです。

 また、ターゲットとなる患者さんの年齢層が比較的高いので、どの職種についても年齢に合わせたコミュニケーション能力が求められます。

 

 

 

④プロモーション戦略

 

 循環器内科のプロモーション戦略は、ホームページでの情報配信を中心に高い専門性を強みとしてどうアピールするかがポイントになります。

(1)開業前のプロモーション

 診療所開業を地域に知っていただくための一番の手段は、住民の皆様にお越しいただき、診療所の雰囲気や院長、スタッフの人柄などを直接感じていただくことです。その場での好印象から、すでに地域への口コミがスタートします。そのお披露目の機会となるのが、開業直前の週末、原則的に土曜日・日曜日の2日間を利用して実施する内覧会です。

 開業直前の内覧会の実施は、多くの診療科で浸透していますが、内覧会の告知のために、一次診療圏(徒歩通院圏内、半径約500m)には、診療所のリーフレットのポスティングを、二次診療圏(開業エリアの競合環境や人口により変動。概ね半径1kmから2km圏内)には新聞折込みチラシによる告知を行うことが一般的です。

 診療所のリーフレットや新聞折込みチラシでは、記載内容が循環器内科の専門性や先生の強みを的確にアピールできる内容になっているかを広告制作会社任せにすることなく、細かく擦り合わせすることが大切です。

 医療機関には広告規制があることから、開業の告知は最大の広告機会といえます。認知度を一気に高めるためにも、開業時に積極的なアピールをしたいところです。

(2)開業後のプロモーション

 開業後については、自院ホームページでの情報配信が主なプロモーション活動となります。最近では、先生自身がホームページの更新を簡単にできるシステムを特徴とした商品もあり、私どもが開業をご支援した先生のなかにも、定期的にブログを更新しておられる先生がいらっしゃいます。また、自院のホームページ管理画面をこまめにチェックされ、コンテンツ別の閲覧数の変化などから、掲載情報の深掘りなどコンテンツの充実を図っておられる先生もいらっしゃいますが、「Google」などでの検索順位を上位に押し上げることは、広報活動としてのホームページ運用の費用対効果を高める意味においてもとても有効な取り組みです。

 

 

 医療機関の最大の広告は、患者さんの口コミであることから、1人ひとりの患者さんに対して満足度を高める対応が地味ながらもっとも効果的といえます。効果測定として、初診時の問診表に、「当院受診のきっかけ」を質問項目として入れておき、「家族や知人の紹介(口コミ)」という来院動機の開院後の増減を定期的にチェックすることが重要になります。

 院内の掲示板でも、定期的な心エコー検査やホルター心電図検査の必要性をアピールしたり、院内モニターで医療情報を視覚に訴えることも有効な手段といえます。

 そのほか、高血圧など慢性疾患で継続的な服薬に不安を感じる方も少なくありませんので、月1回程度の健康教室などの場を設けて情報提供を行い、患者さんの不安を取り除く工夫や、予防医療への取り組みを啓蒙することで、かかりつけ医として気軽に相談を受けられる環境を整えることが大切な取り組みとなります。

 

~株式会社日本医業総研 発行 診療所開業 ここで差がつく診療科別開業成功のポイント より~

 

★次回は 呼吸器内科の経営戦略・立地選定 を掲載予定です

 

<過去のブログ>

消化器内科 ①経営戦略・立地選定   2023/6月更新分

消化器内科 ②事業計画        2023/7月更新分

消化器内科 ③職員配置・採用計画 ④プロモーション戦略 2023/8月更新分

循環器内科 ①経営戦略・立地選定   2023/9月更新分

循環器内科 ②事業計画        2023/10月更新分

 


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