診療所開業 ~ 診療科別開業成功のポイント ~

◆脳神経外科 編

 

脳神経外科は都市部を除き施設数自体が少ないことから、競合がなく広域から集患可能なエリアの抽出が重要になります。MRIを主力検査機器とするか、導入しないかで事業計画が大きく変わることになります。MRIについては、撮影件数を別建てにして収入計画を立てることになります。撮影件数は外来数に比例しますので広域な診療圏調査結果に基づき慎重に件数を推測することが重要です。

 

≪ポイント≫

・MRIなどの高額医療機器を導入する場合は、投資に見合った患者数の検証と確保が重要

・MRIの導入では、機器の価格だけでなく、スペースの確保、防護工事、常勤診療放射線技師の採用、高額な保守料等のコストを十分に織り込む

・MRIを導入しない場合でも、近隣の画像診断クリニック等との連携が重要で、検査のスピード感と確かな診断、治療の説明が患者満足度を向上させる

 

③職員配置・採用計画

 

 脳神経外科の職員配置、採用計画については、MRIなどの高額医療機器の導入の検討が前提となります。

 MRIを導入する場合は、運営上常時1名の診療放射線技師を確保しなければなりません。診療放射線技師の採用は、一般公募では簡単ではなく、勤務先病院の同僚や人づてで紹介してもらうなどの取り組みが必要と考えられます。常勤で採用できれば問題ありませんが、パートでシフトを埋める場合は、複数の技師の確保が必要となりますので、開業場所や時期が決まった段階の早い時期から技師の確保のための行動を開始すべきです。また、画像診断においてMRIだけを導入する場合は、臨床検査技師でも操作が認められていますので、採用する資格者の幅を広げることができます。

 看護師については、常時1名体制を確保すれば問題ありません。ただし、看護師採用は、どの診療科でも困難なことから、病院勤務中に、開業後に採用したい看護師の目途を立てておくことが有効な手段となります。

 受付スタッフは、常時2名体制を確保すれば、患者さん対応や電話応対は十分です。医療機関での勤務経験者を1人は確保したい場合は、病院勤務中に、医療事務能力や接遇能力に長けた人がいれば、開業後の採用を打診すること検討手段の一つです。

 MRIを導入しない場合は、看護師が常時1名体制、受付医療事務が常時2名体制とすることで運営上問題ありません。

 脳神経外科は、外来受療率が低く広域からの集患が必要となる診療科だけに、電話の問い合わせや予約対応などの接遇面から集患につなげることも重要な戦略となりますので、接遇スキルに優れたスタッフの確保や育成が望まれます。

 

 

④プロモーション戦略

 

 脳神経外科のプロモーション戦略は、地域の口コミへの積極的な働きかけと、外来受療率が低く広域から患者さんを集めないといけない診療科目のため、自院ホームページの有効な運用が重要になります。

(1)開業前のプロモーション

 診療所開業を地域に知っていただくための一番の手段は、住民の皆様にお越しいただき、診療所の雰囲気や院長、スタッフの人柄などを直接感じていただくことです。その場での好印象から、すでに地域への口コミがスタートします。そのお披露目の機会となるのが、開業直前の週末、原則的に土曜日・日曜日の2日間を利用して実施する内覧会です。

 開業直前の内覧会の実施は、多くの診療科で浸透していますが、内覧会の告知のために、一次診療圏(徒歩通院圏内、半径約500m)には、診療所のリーフレットのポスティングを、二次診療圏(開業エリアの競合環境や人口により変動。概ね半径1kmから2km圏内)には新聞折込みチラシによる告知を行うことが一般的です。

 実際に脳神経外科については、競合のないエリアがまだ多く残っていることもあり、通院が可能な広域エリアに、相応の予算を確保した上で積極的に広告を展開します。

 医療機関には広告規制があることから、開院の告知は最大の広告機会といえます。認知度を一気に高めるためにも、開業時に積極的なアピールをしたいところです。

 

 

(2)開業後のプロモーション

 脳神経外科は普段の生活であまり馴染みのない診療科だけに、受診への不安を解消してくれるのは、他院の先生からの紹介を除けば、家族の助言や地域の口コミということになります。そうした場合の最大の広告は、1人ひとりの患者さんに対して満足度を高める対応が地味ながらもっとも効果的といえます。効果測定として、初診時の問診表に、「当院受診のきっかけ」を質問項目として入れておき、「家族や知人の紹介(口コミ)」という来院動機の開院後の増減を定期的にチェックすることが重要になります。

 また、自院ホームページでの情報配信も主要なプロモーション活動となります。頭痛など苦痛を早く取り除きたい患者さんは、インターネットで自身の症状に的確に対応してくれそうな診療所を探す傾向があるため、インターネット検索で自院ホームページが上位に露出できるような対策が効果的です。弊社の開業支援事例においても、開院当初からインターネットの専門広告代理店に依頼して「Google」や「Yahoo」検索エンジンに対する「リスティング広告」を実施。来院につながると思われるキーワードを数百個設定し、そのキーワードで検索した方に自院のホームページを見てもらえる動線をネット上に作ることで、一定の成果を上げています。

 最近では、先生自身がホームページの更新を簡単にできるシステムを特徴にした商品もあり、私どもが開業をご支援した先生のなかにも、定期的にブログを更新しておられる方がいらっしゃいます。また、自院のホームページ管理画面をこまめにチェックされ、コンテンツ別の閲覧数の変化などから、掲載情報の深堀りなどコンテンツの充実を図っておられる先生もいらっしゃいますが、「Google」などでの検索順位を上位に押し上げることは、広報活動としてのホームページ運用の費用対効果を高める意味においてもとても有効な取り組みです。通り一遍の疾患説明だけではなく、ブログやコラムなどで院長の診療方針や診療内容を詳しく解説し安心感を与えることが、受診の動機づけにもつながります。

 

~株式会社日本医業総研 発行 診療所開業 ここで差がつく診療科別開業成功のポイント より~

 

★次回は 婦人科の経営戦略・立地選定 を掲載予定です

 

<過去のブログ>
消化器内科 ①経営戦略・立地選定   2023/6月更新分

消化器内科 ②事業計画        2023/7月更新分

消化器内科 ③職員配置・採用計画 ④プロモーション戦略 2023/8月更新分

循環器内科 ①経営戦略・立地選定   2023/9月更新分

循環器内科 ②事業計画        2023/10月更新分

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脳神経外科 ②事業計画        2026/4月更新分

 


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