医療事務の基礎知識(13)

皆さんこんにちは。今回は、「処方箋料」について解説します。

近年、医薬分業率が7割以上となり、医療機関では処方箋を渡して、調剤薬局で薬を受け取ることが一般的となってきました。医療機関では「処方箋料」を算定し、調剤薬局では、薬剤料や調剤技術料などを算定しますので、患者さんは医療機関と調剤薬局の両方で支払いが生じます。患者負担で考えると、院内処方よりも院外処方の方が支払う金額は少し高くなってしまいますが、医師は診療に専念し、薬剤師が調剤や薬の説明を行うことにより、お薬の使用がより安全になります。また、医師が自由に薬剤を処方できるため、患者さんに処方する薬の幅が広がることもメリットの1つです。

 

 

■処方箋料

処方箋料は以下のように定められています。

 

  1. 3種類以上の抗不安薬、3種類以上の睡眠薬、3種類以上の抗うつ薬、3種類以上の抗精神病薬又は4種類以上の抗不安薬及び睡眠薬の投薬(臨時の投薬等のもの及び3種類の抗うつ薬又は3種類の抗精神病薬を患者の病状等によりやむを得ず投与するものを除く)を行った場合

 

28点

 

  1. 1以外の場合であって、7種類以上の内服薬の投薬(臨時の投薬であって、投薬期間が2週間以内のもの及び区分番号A001に掲げる再診料の注12に掲げる地域包括診療加算を算定するものを除く。)を行った場合又は不安若しくは不眠の症状を有する患者に対して1年以上継続して別に厚生労働大臣が定める薬剤の投薬(当該症状を有する患者に対する診療を行うにつき十分な経験を有する医師が行う場合又は精神科の医師の助言を得ている場合その他これに準ずる場合を除く)を行った場合

 

40点

 

  1. 1及び2以外の場合

 

68点

 

通常は、「3」の68点を算定することが一番多いと思います。上記の1でも2でもない場合です。

 

 

 

■「1」を解説

では、1についてよく見ていきたいと思います。ここにあげられている抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬、抗精神病薬は、副作用のリスクが大きかったり、依存性が高くなりやすいため、十分な配慮を必要とする薬剤であることから、なるべく多剤投与にはならないようにという考えで、低減算定の規定が設けられています。どの薬剤が対象になるかについては、【別紙36】を参考にすることとなっています。

 

点数は下記の表【別紙36】より、一度に3種類以上の抗不安薬、3種類以上の睡眠薬、3種類以上の抗うつ薬、3種類以上の抗精神病薬を処方した場合か、または抗不安薬と睡眠薬を合わせて4種類以上処方した場合は、処方箋料を28点で算定します。

(臨時の投薬等のもの及び3種類の抗うつ薬又は3種類の抗精神病薬を患者の病状等によりやむを得ず投与するものを除く)

 

【別紙36】

抗不安薬

オキサゾラム ロラゼパム ロフラゼプ酸エチル
クロキサゾラム アルプラゾラム タンドスピロンクエン酸塩
クロラゼプ酸二カリウム フルタゾラム ヒドロキシジン塩酸塩
ジアゼパム メキサゾラム クロチアゼパム
フルジアゼパム トフィソパム ヒドロキシジンパモ酸塩
ブロマゼパム フルトプラゼパム エチゾラム
メダゼパム クロルジアゼポキシド ガンマオリザノール

 

睡眠薬

ブロモバレリル尿素 ブロチゾラム リルマザホン塩酸塩水和物
抱水クロラール ロルメタゼパム ゾピクロン
エスタゾラム クアゼパム ゾルピデム酒石酸塩
フルラゼパム塩酸塩 アモバルビタール エスゾピクロン
ニトラゼパム バルビタール ラメルテオン
ニメタゼパム フェノバルビタール スボレキサント
ハロキサゾラム フェノバルビタールナトリウム レンボレキサント
トリアゾラム ペントバルビタールカルシウム メラトニン
フルニトラゼパム トリクロホスナトリウム  

 

抗うつ薬

クロミプラミン塩酸塩 セチプチリンマレイン酸塩
ロフェプラミン塩酸塩 トラゾドン塩酸塩
トリミプラミンマレイン酸塩 フルボキサミンマレイン酸塩
イミプラミン塩酸塩 ミルナシプラン塩酸塩
アモキサピン パロキセチン塩酸塩水和物
アミトリプチリン塩酸塩 塩酸セルトラリン
ノルトリプチリン塩酸塩 ミルタザピン
マプロチリン塩酸塩 デュロキセチン塩酸塩
ペモリン エスシタロプラムシュウ酸塩
ドスレピン塩酸塩 ベンラファキシン塩酸塩
ミアンセリン塩酸塩 ボルチオキセチン臭化水素酸塩

 

抗精神病薬

<定型薬>

クロルプロマジン塩酸塩 スルピリド
クロルプロマジンフェノールフタリン酸塩 ハロペリドール
ペルフェナジンフェンジゾ酸塩 ピモジド
ペルフェナジン ゾテピン
ペルフェナジンマレイン酸塩 チミペロン
プロペリシアジン ブロムペリドール
フルフェナジンマレイン酸塩 クロカプラミン塩酸塩水和物
プロクロルペラジンマレイン酸塩 スルトプリド塩酸塩
レボメプロマジンマレイン酸塩 モサプラミン塩酸塩
ピパンペロン塩酸塩 ネモナプリド
オキシペルチン レセルピン
スピペロン  

 

<非定型薬>

リスペリドン クロザピン
クエチアピンフマル酸塩 パリペリドン
ペロスピロン塩酸塩水和物(ペロスピロン塩酸塩) パリペリドンパルミチン酸エステル
オランザピン アセナピンマレイン酸塩
アリピプラゾール(アリピプラゾール水和物) ブレクスピプラゾール
ブロナンセリン ルラシドン塩酸塩

 

 

 

 

■臨時の投薬等は除く

臨時の投薬とは、次のイロハのいずれかを満たすものをいいます。

イ.精神疾患を有する患者で、他院で既に向精神薬多剤投与されている患者が、当該保険医療機関を初めて受診した場合

  の連続した6ヶ月間

ロ.向精神薬が投与されている患者であって、向精神薬多剤投与に該当しない期間が1ヶ月以上継続しており、薬剤の切

  り替えが必要と判断した場合の一時的に併用してしまう期間(連続3ヶ月間で年2回まで)

ハ.連続する投与期間が2週間以内または14回以内のもの(投与中止期間が1週間以内の場合は連続投与とみなす)

   (注) 抗不安薬と睡眠薬については、臨時に投与する場合についても種類数に含める

 

上記イロハに当てはまる場合は、処方箋料は28点ではなく、処方箋料「2」の40点または「3」の68点を算定できます。ただし、これらの場合はレセプトの摘要欄にそれぞれ次の記載事項が必要です。

 

イ.→ 当該保険医療機関の初診日を記載する

ロ.→ 薬剤の切り替えの開始日、切り替え対象となる薬剤名及び新しく導入する薬剤名を記載する

ハ.→ 臨時の投与の開始日を記載する

 

■患者の病状等によりやむを得ず投与するものを除く

抗うつ薬又は抗精神病薬に限り、精神科の診療に係る経験を十分に有する医師として、定められている4つの条件(点数早見表P521(ニ)①~④)を全て満たし、別紙様式39を地方厚生局長に届け出た医師が、患者の病状等によりやむを得ず投与を行う必要があると認めた場合は、28点ではなく、処方箋料「2」の40点または「3」の68点を算定できます

この場合もレセプトの摘要欄には、28点ではない理由の記載が必要です。

 

■要注意です

この届け出をした場合、抗うつ薬又は抗精神病薬に限り減額対象から除外されます。届け出を行っていても、3種類以上の抗不安薬と3種類以上の睡眠薬、または抗不安薬と睡眠薬を合わせて4種類以上処方した場合は低減算定になりますのでご留意ください。

 

例えば、同日(同時)に抗精神病薬と睡眠薬がそれぞれ多剤投与されていたら、抗精神病薬は除外規定に該当しますが、睡眠薬は多剤投与の減額された処方箋料になりますので、この場合は28点を算定します。

 

■一般名で数えます

抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬、抗精神病薬の種類数は、一般名で数えます。1回の処方の中に一般名が同じ薬剤があった場合には、合わせて1種類と数えます。

例えば、デパス錠とエチゾラム錠がともに処方された場合は、商品名は異なりますが、どちらも別紙36における抗不安薬のエチゾラムに該当しますので一般名は同じです。従って合わせて1種類と数えます。

また、デパス錠の規格が異なる0.5mgと1mgを両方一緒に処方した場合も、1種類と数えます。

 

■年4回の報告が必要です

向精神薬多剤投与を行った保険医療機関は、毎年度4月、7月、10月、1月に、前月までの3ヶ月間の向精神薬多剤投与の状況を別紙様式40を用いて地方厚生局長に報告しなければなりません。

 

次回はこの続きで、処方箋料の「2」 7種類以上の内服薬の投薬についてと、そのほかの加算項目についてのお話しです。

 


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