2011年8月12日

February  2011

Prefatory Note
社会医療法人きっこう会 顧問 海北 幸男 氏
病院、診療所双方の覚悟と積極性が連携のカギ

■課題は急性期病院

社会医療法人きっこう会では、法人内に多様な機能を整備していますが、課題は旗艦施設で急性期を担う総合病院の運営です。急性期病床を平均在院日数という視点で見た場合、その機能を維持していくには大量の入院患者の確保と、退院の促進が求められます。現在、多根総合病院では月間約700名の入院がありますが、大まかなルートの内訳は、自院の外来30%、救急搬送40%、そして紹介が30%といった状況です。急性期病院らしい患者を安定的に確保していくには、上記ルートのうち、紹介が最も望ましいことは病院関係者であれば誰しもが承知していることです。したがって、紹介をいかに大きくしていくかが経営上の課題の一つということになります。

■患者オリエンテッドの立場で

総合病院では、52床の開放型病床を持っていますが、この病床を活用することによって診療所との濃厚な連携を構築することが目的でした。現在、診療所登録医は173名を数えています。しかし、残念ながらこれら登録医の方々と濃厚な関係が十分に築かれているという状況にはありません。

その理由の一方は、病院側の医師や看護師など病棟スタッフが忙しすぎるということに求められると思います。例えば診療所の医師が入院中の紹介患者を訪れても、病棟の医師や看護師とカルテやデータを前に意見交換などできるような余裕がありません。

もう一方には開業医の方々の姿勢にもありそうです。紹介状を書けば形式的な連携はできるかもしれませんが、退院した患者さんが予後の管理を安心して任せる気持ちになるには、入院中の訪問も大切ではないでしょうか。もちろん時間も手間もかかることです。しかし、病院・開業医ともに地域医療を守っていくという立場としては患者オリエンテッドで考え、取り組むべきなのでしょう。

■病院は開業医との連携が重要

先に述べたように、急性期病院は入院患者の確保以上に退院していただくことが大切です。当法人でも、様々な機能を急性期の受け皿として揃えていますが、最終的には最も大きな受け皿である在宅あるいは介護関連サービスへとつないでいくことが重要です。

そこでは開業医との連携が最も効果的なものとなります。この連携を充実したものにしていくには、双方の情報共有が鍵の一つになると考えます。ある病院では、病院と地域の開業医が電子カルテで患者情報を共有し、病院の勤務医は自宅でも24時間、閲覧できる状況になっています。患者さんを真ん中において開業医、病院勤務医が24時間、365日情報交換できる体制にあるということです。資金的に大きな負担がかかりますが、一般病床が過剰とされる今、将来を見据えた投資を、病院も真剣に考える時期にあると思っています。

(文責 編集部)

コンサルタントの独り言

1月から新しく日本医業総研に入社いたしました高橋友恵と申します。人財コンサルティング部として、医療機関の人事労務問題についてご相談応対や接遇研修、組織体制強化などを担当させて頂きます。社会保険労務士の資格も有しており「人」に関することは何でも専門としていますので、労働基準法の疑問やスタッフからの問い合わせでお困りの場合は、お気軽にお問い合わせ下さい!

昨年までも医療機関に特化して労務相談を多く受けていましたが、近年はコミュニケーション不足による労使トラブルが頻繁に起きていると感じています。「人」だから難しい問題ですが、だからこそ「人」でしか解決できない問題でもあるのです。私は「縁」という言葉が好きですので、先生とスタッフとの「縁」が強固なものとして今後のクリニックの発展に繋がるようにお手伝いさせて頂きたいと思います。また、今後メルマガやブログ、ツイッターでも人事労務全般について様々な事例やQ&Aをご紹介していきますので、是非一度日本医業総研人財コンサル高橋友恵でご検索ください!

東京本社
人材コンサルティング部
マネージャー
高橋友恵

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Directors Interview
中原ひろし小児科 院長 中原 宏 氏
母親の気持ちを本当に理解した小児医療を目指して

京都府右京区西院地区で最大のショッピングモール・イオンモール京都ハナの3F、メディカルプラザ京都の一画に、2010年 月に中原ひろし小児科はオープンした。

■子供の頃の経験が医師を選択させた

-中原先生が医師を志した動機、そして小児科を選択した理由をお聞かせいただけますか。

私は今でこそ 時間連続当直も平気というくらい丈夫ですが、小さい頃は腺病質というか、すぐに風邪を引いて扁桃腺をはらし寝込むといった子供だったんです。その頃、連れられていった医者に診察して貰うと、楽になったという思い出があります。だからわりと小さい頃から医者になって恩返しをしたいという気持ちがありましたね。小児科を選択したのも、その流れです。

-大学は福岡、そして広島で研修、臨床のキャリアを積まれました。

出身が広島の呉市なので、広島で勤務医としてのスタートを切ることになりました。

-医師として臨床の場を本格的に経験するようになって、何か思い出となるようなことがありましたか。

ええ。三次市で私にとってはとっておきのことがありました。市立三次中央病院に勤務していた頃です。小学生の女の子の患者さんでした。とってもおとなしい子なんですが、ある時「先生、私も先生のようなお医者さんになりたい」と言い出した。びっくりするやら嬉しいやらで「先生、嬉しいよ。そう言ってくれて」といったら、お願いがあると。インタビューさせてくれって言うんです。もちろんOKしましたが、数日後、友達と取材にきた。そして授業の教材として皆の前で発表してくれたそうです。

-いいお話ですね。

医者になって良かったと本当に思える経験でした。私も小さい頃の思い出が今の道を選ばせたし、その子がもし医師の道を選んでくれたら、思いがつながったという気持ちですね。

■開業はしたくなかった

-開業を決意された理由は。

実は開業する気は無かった。実家が2代続いた歯科医院で、兄で3代目ですが、父のいろんな苦労を見ていて子供の頃から開業医は嫌だなと。

-それがなぜ? しかも開業には比較的若い年齢ですよね。

開業には抵抗はありましたが、外来診療は大好きでした。一番の理由は子供ですね。医局人事の勤務医だと転校が度々になり、せっかくできた友達とも別れてしまいます。それと、どうせ開業するんなら、体力・気力も十分な今かなと。

-医業総研とはどんな出会いだったんでしょう。

私が信頼するコンサルタントの方からの紹介でした。開業に関するいろんなコンサルがありますが、その方は医業総研だ、と。

-意思決定してから開業まではどんな10ヶ月でしたか。

最初は順調だったんです。この場所もご提案いただき、契約も順調に進んでいきましたが、途中でちょっとしたトラブルがあって、最悪は開業を断念するかというとこまで考えました。でも、担当の山下さんに粘り強く支えていただき、本当に感謝しています。

■患者、母親の視点を提供してくれるスタッフ

-内覧会は相当な数だったそうですね。

2日間で恐らく400~500人の方に来ていただきました。医業総研のなかでもトップクラスと伺っています。実は、スタッフの採用に関しては妻や山下さんなどとも話をして、事務職は全員未経験者を採用したので、内覧会などみんな初めての経験でしたから。それはもう(笑)、てんてこ舞い。ただし、妻も含めて全員が子育て経験者ばかり。だから、母親の立場で子供のことを真剣に思ってあげることができます。たとえば、10分患者さんを待たせたとしますね。一般的な医療従事者の場合、事務職であってもやはり医師側、病院側に立った考え、発言をしてしまいます。10分程度我慢してください、といったように。

-よく見かける光景ですね。

妻やスタッフは違います。よく診察室の裏で、母親の気持ちが分からないと妻に叱られている。多分、スタッフや患者さんには聞こえてるんじゃないかな(笑い)。でも、これがありがたい。

-しかし、未経験者ばかりだと困ることはありませんか。

逆です。いわゆる業界の慣習に縛られないで、本当のサービスができると感じています。仕事は慣れるものですし、むしろ自由な発想で楽しめます。例えば注射跡に貼る絆創膏に絵を描いて子供に喜ばれたり。

-奥様もスタッフの一人として支えていらっしゃる。家庭と仕事で大変じゃないですか?

そう思います。でも「仕事が楽しい」といってくれています。妻もまったく医療関連の仕事はしていなかったのですが、今ではスタッフのまとめ役でもあり、患者さん、母親の気持ちを代弁する重要なアドバイザーとなってくれています。

-今後の目標は。

当面、1日100人の患者さんに来ていただくことです。今のスタッフであれば、十分に達成できると思いますし、なおかつ更に良い医療サービスができると思います。

-ありがとうございました。

<<中原ひろし小児科>>
診療科目…小児科、アレルギー科
住所…京都市右京区西院追分町25-1-139 イオンモール京都3F
TEL…075(326)1108
URL…http://www.nakaharaclinic.com/

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第4回 女性医師開業のススメ

■女性の仕事を犠牲にして成り立つ介護の現実

急速な高齢化の進展とともに、介護に悩む働き盛りの世代が増えています。

1999年に育児・介護休業法が施行され、仕事と介護の両立支援を目指す企業が増えてきたものの、介護休業の利用率は極めて低いのが現実です。同僚に迷惑が掛かる、収入が減るなどの理由の他、制度そのものが正確に認知されていない側面もあります。

総務省の調査では、家族の介護のために退職・転職をした人の数は、2006年10月からの1年間でおよそ11万5000人。年々増加する人数もさる事ながら、常に80%以上を女性が占めている点を見過ごしてはいけません。20歳代の医師の約35%を占める女性医師が、年代の上昇とともに減少することの一端は、家族介護との両立の難しさにも起因する現実が見て取れるようです。

一方で、介護を前向きに受け止め、時間のコントロールが利く開業を目指す女性医師からの相談が、私どもコンサルタントにも数多く寄せられるようになりました。

今回ご紹介するS先生も、母親の介護と病院勤務の両立に悩み、開業の道を選択された一人です。

■母親の介護を期に開業医の道へ

S先生は、大学や総合病院で耳鼻咽喉科の専門医として勤務してこられました。大学では臨床の傍ら、研究にも従事され医学博士を取得。中堅医師として更に活躍のフィールドを広げようとする時期に、実家の母親が身体の不調を訴えました。幸い車椅子を余儀なくされるほどの重症ではないものの、足腰の衰えからくるADLの低下は、日常の家事や通院にも不自由をきたします。S先生は二人姉妹で、妹さんがいますが、結婚され育児と仕事を優先させざるを得ません。また早くに父親を亡くされたことから、自ずと母親の介護は独身であるS先生が担うことになりました。

悩んだ末に開業を決意され、医師向けのセミナーで日本医業総研を知ったS先生は、早速インターネットを通じて会員登録。医院経営塾にも参加され、受講後に改めて開業コンサルを依頼されました。

■キャリアを活かしたこだわりを実現するクリニック創りへ

立地の選定では、母親との同居の可能性を考慮し、マンションの1階テナント開業を想定。候補となる提携医療機関とのアクセス関係や綿密な診療圏調査などから、JRと地下鉄が乗り入れる都内T駅周辺に絞込み、駅から徒歩3分の好立地に物件を得ました。勤務医時代、耳鼻咽喉科の専門医として特に難聴やめまいに業績を持つS先生は開業に際し、「クリニックだからできない、とは言われたくない」を意識し、高度な検査機や画像機器の導入、患者さん本位の丁寧な説明と高質な医療の提供にこだわり、開業前告知にも努められました。先生のコンセプトは直ちに地域患者さんの反応に現れます。開業当月には設定した月次損益分岐をクリアし、以後現在まで順調に患者数を増やしています。

さて、同居を勧める母親は、やはり住み慣れた地からは離れ難いようです。そこで、平日はヘルパーのサポートを受け、S先生は毎週土曜日の午前診療後、1時間以上をかけて実家に出向いて介護にあたり日曜日の深夜に自宅へ。多忙な日々を送られながらも開業の成功と相まって、充実した笑顔が印象的なS先生です。同様の悩みを持つ女性勤務医の先達として益々の躍進を期待したいものです。

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『接遇実態調査』のご案内
覆面調査員による接遇品質調査

今だからこそ求められる医療機関の接遇サービス。しかし、院長先生は診察室からその実態や患者さんの様子を確認することが難しいのではないかと思います。

当社では、医療に専門特化したスタッフが、院長先生に代わって貴院の接遇実態を調査・ご支援・研修いたします。覆面調査員が調査いたしますので、素の接遇を調査することが可能です。また、調査により課題を抽出し、他のクリニックとも比較。患者さんにとって安心で親切なクリニック創りをサポートします。

料金は5万円から。ご要望・ご予算に応じてカスタマイズいたします。

■こんなお悩みを解決

▼ ワンランク上の接遇って?
▼ 接遇レベルをスタッフ均一にしたい。
▼ 突発的な事態に困ったことがある。
▼ クレーム対応を正しく覚えて欲しい。
▼ スタッフモチベーションの上げ方は?
▼ 患者さん目線から見たクリニックの印象が知りたい。
▼ 競合医院に差をつけるためには?

株式会社 日本医業総研
大阪本社 TEL:06(4866)0230
東京本社 TEL:03(5297)2300

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勤務医のための医院経営塾 Part9
第3講 『人事労務集中講座II』

前号では、診療時間と労働時間の差についてご説明しました。今号では、次のステップとして賃金の支払い方法についてご説明します。

勤務医の先生方は、勤務中の賃金の支払い方法についての関心が低い方が多いように思われます。

例えば、「残業代は何時間労働したら付くのか」「残業代の計算方法はどうなっているのか」「健康保険や厚生年金、所得税などが給与明細で引かれているが、どのように計算されているのか」これらの問いに対して、正しく回答できる勤務医の先生方は少ないと思われます。

しかし、開業して経営者となれば、スタッフに賃金を支給する立場となり、給与計算も実際に行わなければなりません。実際の計算は奥様など事務を担当する方が行うにしても、経営者としてその仕組みを理解しておくことは必要です。そこで、本講座では、実際に常勤・パートのスタッフの賃金計算を一定の条件のもと行っていただきます(図表参照)。

常勤の時間外の割増賃金については、除外することができる手当等以外の賃金を月の所定労働時間で割って算出した時間単価に、時間外勤務時間数、割増率を掛けて算出します。

また、便宜上健康保険・厚生年金については前提数字を設定していますが、加入条件については講義で説明します。所得税については、実務で使用する源泉徴収税額表を元に算出していただきます。パートについても同様に計算していただきますが、常勤の給与支給額と本人の手取り額の差が大きい(給与支給額から差し引く金額が大きい)ことに参加された先生方は驚かれ、まずはパートのスタッフを採用しようとお考えになる先生が多くいらっしゃいます。

最近の開業事例でも院長とスタッフとの間の認識の違いで問題になりそうなことがありましたが、診療時間として患者さんに掲示している時間帯と、実際にスタッフの方に勤務していただく時間には差が出てきます。この差を採用時に正確に確認しておかないと、後になって、「そんな時間には出勤できません」、「○時以降は残業できません」といった苦情が出ることになります。例えば、朝9時から診療開始としていても、実際には、掃除や電子カルテの立ち上げ作業など診療体制を整えるために遅くても15分から30分前にはスタッフに出勤していただく必要があります。これらの時間も含めて勤務時間にカウントされ、給与の支払い義務も生じてきます。一日8時間以内という法定労働時間を守ろうとすると意外に診療時間が短いなとか、スタッフの人員体制を整えるのが難しそうだなという認識をお持ちになる先生方が多いようです。

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