2016年2月24日

September 2010

Prefatory Note
元日本医師会 常任理事 医療法人博腎会 理事長 野中 博 氏
診療所の役割は、地域で支える医療の提供

 

■紹介(連携)の主体は患者

患者さんは、病院から診療所、あるいは介護保険施設など、急性期を脱した後は、各種施設へと紹介されていきます。そして、それぞれの場面で紹介状が添付さ れますが、果たして誰のための紹介状になっているでしょうか。現状ではカルテの添付はまれなので、紹介先の施設の担当医は、紹介状の記載内容がすべてとい うことになるケースが少なくありません。

残念ながら医師(医療関係者)と患者さん(家族)の、医療における情報の非対称性という課題は十分に解消されているとは言えません。医師と患者さんが「共 通の言語」を持っていれば、紹介(連携)ももう少し違ったものになるかもしれませんが。紹介状には診断名だけでなく、診断の経緯、治療方針やある程度の具 体的内容など、連続した医療提供がスムースにいくような内容が望ましいと考えています。なぜなら紹介(連携)の主体は、医療提供者ではなく、あくまで患者 さんであること。これが本稿の趣旨の一点めです。

 

 

■支える医療と治す医療

病院の医師の多くは専門医として医療行為に取り組んでいます。高度な診断機器を駆使して病名を確定し、それにあった治療方針を決め、様々な指示をスタッフに出して行きます。こういった病院の医療は「治す医療」と言えます。

一方、診療所の医療は当然ですが主体は外来医療であり、その延長線上として訪問診療を含む在宅医療サービスが存在しています。一部の介護保険サービスも包含されるかもしれませんが、開業医が提供するものは、患者さんや家族を地域で「支える医療」ということができます。

高齢化が進めば進むほど、地域で支えるという視点は重要性を増していきます。急性期病院における短期的、集中的な医療提供後、患者さんのQОLに配慮しな がらその後の地域生活をどう支えていくかは、開業医の領域でもあります。この違いを互いに認識した連携を構築すべきというのが二点めです。

■多職種における面展開

最後は、本来的な連携の姿についてです。チーム医療という表現は既に患者さんたちにも浸透していますが、医療連携と言ったとたん、その対象は概ね医師に集 中しているように思われます。もちろん、包括的な医療サービスのコーディネーターとしての医師の役割を否定するものではありません。しかし、「地域で支え る」ことを念頭に置けば、多職種による包括的なサービスこそが、患者さんとその家族の安定的な地域生活を担保するものだと考えています。その構築に向け、 幅広い議論と具体的な取り組みに期待しています。

(文責 編集部)

 

コンサルタントの独り言

私ども日本医業総研の始業時間は毎日朝7時30分です。簡単な打合せや会議をすることもありますが、朝から全力で業務をスタートしています。時々朝7時前後にメールを返信したりして、クライアントの先生方に驚かれることもあります。

私の勤務する大阪本社は今年の6月に大阪市内から豊中市に移転しましたが、それまでは毎日朝6時に自宅を出発していました。自宅からは近くなりましたので、朝は少しだけゆっくりできるようになり、自由な時間を使えるようになりました。

出勤前の朝の時間はとても貴重です。普段はなかなか見る時間が取れずに録画だけしておいた映画やスポーツ番組を見たり、早く起きてきた息子達と話をしたりして、1日の中での貴重な時間になっています。

もっと仕事の効率を上げて、夕方以降の自分の時間を増やしたいと思いますが、なかなか上手くいかないのが、悩みの種です。効率をあげて、更にいい仕事をしたいと思っておりますので、今後とも宜しくお願い致します。

大阪本社
チーフマネージャー
山下明宏

 

勤務医のための医院経営塾 Part4

第1講『経営戦略集中講座IV』

 

前号では、講義の内容のうち、「開業エリアの選定」についてご紹介しました。今号では「医療連携先、差別化戦略を明確にする」をご紹介します。事業コンセプトマップを完成させる最後の項目です。

経営理念、診療コンセプトに適合した開業エリアを絞り込み、具体的な開業イメージが固まったところで、そのエリアで開業後の医療連携先との関係作り、他院との差別化戦略を検討していきます。

講座では、先輩開業医が具体的にどのような方法で連携関係を構築し、他院との差別化を図っているのかについて、事例を元に実際に開業した後にどのような行動を起こしているのかについてご紹介し、ご自身が開業された後の具体的な行動内容について考えていただいています。

例えば、医療連携先との関係構築に関する事例では、前勤務先を開業後の連携先として明確に打ち出したケースがあります。具体的には、勤務医時代からコメ ディカルだけではなく受付医療事務とも積極的な人間関係を構築し、病院の外来時間が終了した後でも、クリニックが診療している時間帯であれば積極的に患者 さんに案内してもらえる関係ができていることをご紹介しています。

また、差別化戦略の事例では、スタッフの質向上に積極的に取り組まれているクリニックを取り上げ、「患者第一優先」の理念実現のために、新たに入職した看 護師に先輩看護師がマンツーマンで指導する体制を取っていることや、隔週の月曜日朝8時30分から全体ミーティングを実施して、業務改善提案、課題レポー トの提出を行ったりしていることをご紹介しています。これらの取り組みにより、理念の浸透が図られ、スタッフのサービスの質向上につながっているのです。 こうした事例を元に、開業後に他院と差別化をどのように図るのか、具体的な施策を書き出していただきます。

こうして4月号からご紹介してき内容を、一枚の「事業コンセプトマップ」にまとめていただき、参加いただいた先生固有の開業にとって最も大切な経営戦略をお持ち帰りいただいています。

次号は、第二講となる資金計画集中講座についてご紹介します。

 

What’s New
京阪くずはメディケアモールのご案内

大阪府の北東部に位置する枚方市楠葉。京阪電車樟葉駅は1日平均6万2千人強の乗降客数を擁し、京阪沿線ベッドタウンの中でも最大級の利用者で賑わいます。

『京阪くずはメディケアモール』はこの樟葉駅から徒歩3分の分譲タワーマンションの1、2階にオープンしました。駅前には大型ショッピングセンターが営業 し、枚方市内だけでなく、京都府の八幡市、京田辺市など周辺からも多くの利用者が訪れることから、当モールも今後、医療圏の拡大が期待されます。

現在、医療系 区画のうち、消化器内科、整形外科、耳鼻咽喉科、心療内科、画像診断、一般歯科、矯正歯科の各クリニックと調剤薬局が稼働中で、平成23年4月には皮膚科も開院の予定で準備が進んでいます。

当メディケアモールの最大の特徴は、画像診断クリニックが開設されていることです。これによって館内の各クリニックとの診診連携が図られ、MRI,CTといった高度診断機器での検査がスムーズに処理され、各診療科のより専門的な医療サービスの提供を支援しています。

もちろん、画像診断クリニックは館内のクリニックだけでなく、楠葉地域および周辺の多くの診療所との連携も積極的に進められています。

また、メディケアモール運営事務局では、2台の専用車を使って、通院や画像診断クリニックに検査に来られる患者様の送迎も実施しており、周辺の診療所からも好評をいただいています。

今後は、楠葉地区全域の自治会との連携を実施する計画で、先生方のサポートとなるよう、運営事務局が積極的にその役割を担い、併せて地域に愛されるクリニックモール創りに取り組んでまいります。

 

TOPICS
医院経営塾に新コース誕生
人事労務マネジメント講座を開講

日本医業総研・東京本社では、この9月より「勤務医のための医院経営塾―人事労務マネジメント編」を開講いたします。従来の医院経営塾が「成功する開業」 のためのものであるのに対し、人事労務マネジメント編は、開業前後の診療所経営に軸足を置いたものとなっています。今回の講座開講の趣旨や概要について塾 長の佐久間賢一・日本医業総研顧問と、植村シニアマネージャーに話をうかがいました。

-なぜ人事労務管理なのですか。

佐久間 診療所経営で院長が最も苦労されるのが採用から始まる人事労務管理です。しかし、診療所経営がうまく軌道に乗っていくかどうかも人事労務管理にか かっているといって過言ではありません。受付は診療所の顔、看護師は院長の右腕でもあります。彼女たちが本当の戦力になって貰うためのポイントをしっかり と身につけていただくのが本講座の趣旨です。

-具体的な講座の内容を教えてください。

植村 面接から採用、職員教育そしてトラブル解決まで実践的な内容で構成しています。4講座ともワークショップ形式 で、単に講義を聞いていただくだけでなく、実際に面接チェックシートや雇用契約書案などを講義の中で作成していただきます。今回の人事労務マネジメント講 座には、労務問題のエキスパートである髙橋友恵(日本医業総研人財コンサルティング部マネージャー)を中心とした講師陣で、より実践的な内容に仕上げてい ます。

医院経営塾 ― 人事労務マネジメント編は、東京が先行して開講しますが、大阪でも追って開催の予定です。各講座の概要は以下の通りです。

■第1講 面接力強化講座 ―  面接チェックシートを作成しよう
開催日:9月25日(土)

■第2講 採用力強化講座 ― トラブルにならない採用方法とは
開催日:10月9日(土)

■第3講 育成力強化講座 ― スタッフ育成計画シートを作成しよう
開催日:11月27日(土)

■第4講 人事トラブル解決力強化講座 ― その時どうする!?事例から学ぶ問題スタッフへの処方箋
開催日:12月11日(土)

開催時間はいずれも17時~19時30分、会場は新宿三井ビル55F。
詳細は、医院経営塾運営事務局TEL 03(5297)2300 担当:小畑まで。

 

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