2011年7月12日

LETS review  Vol.03    July 2010

Prefatory Note
(社)全日本病院協会代議員会 議長 医療法人 佑和会 木村病院 院長 木村佑介 氏
診療所のあり方が、地域社会の連携のカギを握る

医療機能の連携は長年、医療界における極めて重要なテーマでした。特に2000年の介護保険導入以降は、従来の初期医療―急性期―回復期・慢性期、そして在宅といったカテゴリーに加え、介護保険が加わり、さらに輻輳した状況を作り出しています。その中で診療所の位置づけは、いわば連携の要といって良いと考えています。

■サービスの質を担保する連携

そもそも医療及び介護機能の連携がなぜ必要なのか。第一義的にはサービスの利用者である国民にとって望ましいからです。フリーアクセスは国民にとって大切な権利ですが、このフリーアクセスが十分に機能するには、医療提供者と消費者(患者)の間の情報の量及び質に大きな差がないことが前提となります。患者による主体的な選択が行なわれ、それが大きく間違っていないといった環境下でこそ、フリーアクセスは本来的な機能を発揮します。しかし、残念ながら現状はまだその状況には到達しておらず、サービス提供者の良質な連携こそが、国民のサービス消費の質を担保しているのです。

次に診療所の機能について考えてみましょう。診療所開業医は原則、大学を卒業し、国家試験に合格し、大学の医局そして病院の勤務医を経て開業というルートをたどります。したがって、開業までは高い専門性を持ち、病院といういわば専門店で、その専門性を発揮した医療を展開しています。

しかし、開業するとそれまで培ってきた専門性よりもむしろ、広範な診断・治療を求められるというのが一般的でしょう。もちろん、病院に負けないほどの専門的な医療を提供する診療所は皆無ではありませんが、マクロで診療所の機能を捕らえると、以上のようなことになります。日常的には、自分の専門性を柱、いわば扇の要に置きながら、その知識の裏打ちの上、前びろの診療サービスを提供していくことが求められます。

言い換えれば、狭い専門的な領域だけでなく、全人的(使い古されてはいますが)な対応を求められていることでもあります。本人だけでなく家族も含め日常の健康管理にまで配慮した診療サービスを提供する医師がいる安心感は、利用者にとっては替えがたいものでしょう。

■ライフステージに応じた診療

さてここで機能連携です。

以上のような機能を診療所が充分に発揮しているとすれば、施設もしくは機能に視点をおいたものではなく、患者(利用者)の立場を優先した連携が構築されるでしょう。さらに、地域社会における資源の効果的な活用が促進され、結果として社会保障財源の極めて効率的な活用にもつながっていくはずです。そして、必ず守らなければならないことは、診療所、病院、介護施設それぞれがその役割をきちんと果たすことです。この仕組みをさらに有機的なものにするためには、個人差はあると思いますが、開業医の方々のライフステージに応じた(その年齢に応じた無理のない)診療サービスの提供を心掛けることです。連携のパートナーとしてのささやかな提言です。

(文責 編集部)

コンサルタントの独り言

コンサルタントという仕事柄、セミナーや勉強会で話をさせて頂く機会が多くあります。誰しも同じでしょうが、大勢の先生方を前にすると緊張からか、何度経験しても思うように話せるものではありません。そこで、今回は私がいつも行っている緊張を緩和する方法をお伝えいたします。

1.話す内容を最低3回は反復練習する。
2.当日、会場に早く来て、壇上でイメージトレーニングを行う。
3.講演開始時に、とびっきりの笑顔と声で挨拶をし、ひと呼吸おいてから話し始める。
4.講演内容のレジメにはあまり書きこまない(講演中、視線が下になってしまうから)。
5.来場者を見渡し、「全員が自分のファンだ」と信じ込む。
6.ポケットに五円(ご縁)玉を入れておく(オリジナルのジンクスを作る)。

ちなみに、昨日のセミナーでも実践しましたが、このアナクロな緊張緩和法の効果はテキメンでした。

大阪本社
シニアマネージャー
田中徳一

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Directors Interview
小西こどもクリニック 院長 小西好文 先生
患者さんとの密接な関わりを構築し、地域の小児科医療ニーズの全てに応える

JR東海道本線の平塚駅からバス便で約12分。今年の5月、郊外のロードサイドに開業した「小西こどもクリニック」。勤務医時代から慣れ親しんだ地元での開業は順調なスタートとなった。1日の来院患者数は多い日で70人。少ない日でも30人を切ることはない。開業から一ヶ月足らずで、経営を評価するのは早計に過ぎるが、地域の小児科医療ニーズを的確に掴みつつあるのは確かだ。

-まず、開業を決意されたきっかけをお聞かせください。

2年前に恩師である勤務先の前小児科部長が退職され、部長を引き継ぎました。外来・入院医療の責任者として頑張っていましたが、病院では役割分担をしなければ、対応できません。そうなると地域の患者さんを密に診療していくことは難しい。開業医さんからの紹介患者さんや、救急患者さんの対応に日々追われます。もちろん、病院にしか担えない医療や責任はやりがいでもありましたが、もっとゆっくり子供たちと関わりたくなりました。自分の専門分野を地域でもっと発揮したいという気持ちが開業に踏み切らせましたね。

-開業を考えたとき、先輩開業医や他のコンサルタントにはご相談なさいましたか。

はじめは、先輩に紹介されたコンサルタントに相談しましたが、立地の考え方などで、どうも良い組立てができませんでした。その後、別のコンサルタント(ハウスメーカー)に切り替えました。

-日本医業総研にコンサルティング依頼を決められた理由はなんでしょうか。

ハウスメーカーの方は、土地を購入して、クリニックを建設する戸建開業を提案されていました。当然、莫大な資金を必要としますし、少し不安に思っていました。そんな時、セミナーで日本医業総研の話を聞いたんです。そうしたら提案されていた戸建ての場所を見ていただいて、資金計画も2種類立てていただきました。不安に感じていたことの回答が得られたと思い、お願いすることに決めました。

スタッフの方々全員が、信頼できると感じられましたし、安心してお願いできました。

-医院経営塾を受講されたとのことですが、講座の印象はいかがでしたか。またそれが実践にどう生かされましたか。

大変参考になりました。内容は多岐にわたっていました。どの内容も開業に生かされています。経営の数値的な見方は資料を読むだけでもある程度は理解できますが、患者さんの目線に立った空間の捉え方など普段考えたことのない内容には、新鮮な気づきがありました。また、開業前のスタッフ研修で、クリニックの基本理念や方針を説明するペーパーにもセミナー内容が生かされています。うれしいことに、スタッフにも好意的に受け入れられました。

-患者数を見ると、順調なスタートといえますが、開業の告知はどのようになさいましたか。

パンフのポスティング程度で特別なことはしていません。正直な話、本当に患者さんが来てくれるのか不安でしたが、内覧会には約400人の方が来院されました。患者さんの層は、主に慢性疾患を扱ってきた前職の病院とは明らかに違いますが、地元の方ばかりです。小児科医療の潜在ニーズがあったと強く感じています。

-小児科医院として日々の診療で特に気を使われるところは。

何でしょうね?特別に意識はしていません。幸い優秀なスタッフに恵まれて、私は診療に集中できていますし。もちろん、患者さんやスタッフの声を素直に受け止めるように努力していますが、とても楽しく毎日を過ごさせて戴いています。しいて言えば、お掃除ですかね。内装が新しいので、いつも清潔にしていこうと心がけています。だから、朝はスタッフ全員で楽しくお掃除しています。

-今後、どのような医療を目指されますか。

一言で表せば、「地域の小児医療の要求・期待の全てに応えていきたい」でしょうか。診療を続けていく中で、どんな要求があり、何を優先して応えていくか?スタッフ全員でアンテナをパラボナ状態にして情報を集めたいと思います。また一方で、スタッフの仕事のモチベーション、やりがいについても気を配りたいですね。多様な労働環境の中で、決して無理をせずに、患者さんを温かく迎えることができる集団になりたいと思います。

-先生のご趣味やリフレッシュ法をお聞かせください。

15年前から、山登りを始めました。月に2回ぐらい通い詰めた時期もありますが、開業の準備や何やらで、最近山に行っていません。今年の夏には、再開したいところです。あとは、月並みですが、読書です。推理小説に少しハマっていました。赤川次郎、東野圭吾、和久俊三をよく読んでいます。でも、最大のリフレッシュは、お酒ですね。晩酌が最高です(笑)。

-ありがとうございました。

<<小西こどもクリニック>>
診療科目…小児科、アレルギー科
施設面積…41.77坪
住所…神奈川県平塚市中原2-21-20 1F
TEL…0463-73-7520 begin_of_the_skype_highlighting            0463-73-7520      end_of_the_skype_highlighting
URL…www.konishi-cl.jp

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勤務医のための医院経営塾 Part2
第1講『経営戦略集中講座II』

前号では、講義の内容のうち、経営理念の立案までご紹介しました。今号では、第1講のメインテーマとなる「経営理念」をより具体化させるための講義内容、ワークショップ内容についてご紹介いたします。

経営理念をお考えいただいた先生方の次の課題は、「診療コンセプト」です。つまり、どのような医療サービスを提供して、地域医療に貢献していきたいのか?また、その医療サービスは、他の競合医院と比較して差別化できる内容となっているのか?について検討していきます。

そのために、まずは先生ご自身のご経歴を振り返っていただき、ご自身の強み、弱みを把握する作業を行っていただきます。実際に履歴書をお書きいただき、出身大学、医局、過去勤務されてきた病院を列挙いただき、さらに保有されている専門医資格も書き出していただきます。その中で、ご自身の強み弱みを書き出していただくのですが、意外に強みがないとおっしゃる先生方が少なくありません。

普段、仕事として当たり前のように行っておられる診療行為ですので、何の特徴もないとお考えになられるのでしょうが、患者の視点や経営者の視点で見てみると、十分強みになるご経歴をお持ちの場合がほとんどです。

例えば、内科の先生で、「内科であれば、開業しても何の差別化にもならないだろう」というお考えの先生がいらっしゃいました。履歴書を拝見すると、これまで大きな病院で「呼吸器科・アレルギー科」の臨床経験を積んでこられていました。同じ内科の中でも、呼吸器科・アレルギー科を専門とする先生は少なく、クリニックも少ないのが実態です。専門性を打ち出せば、十分に他の内科クリニックと差別化できることをお話ししたところ、「そういう見方ができるのか」と驚いておられました。また、同じ病院に長年勤務されている先生で、その病院の先生方やスタッフ、近隣の医療機関との人間関係を大切にしておられる場合には、病院や近隣医療機関との連携を強く打ち出すことで、地域から必要とされるクリニックを築き上げることができるという強みもあります。こうして、ご自身の強みを最大限に生かし、弱みをカバーする診療コンセプトを練り上げていただきます。

「診療コンセプト」が固まれば、次は、「ターゲットとする患者像」を明確にしていただき、その患者像を集めるための標榜科目の在り方を検討していただきます。ターゲットとする患者像は、どのエリアに居住している人なのか、年齢や性別は?と、より具体的にイメージを膨らませていただきます。そして、その患者さんが、診察を受けるクリニックを選ぶ際に、どの診療科目が標榜されている必要があるかを検討いただきます。つまり患者目線で、自分自身のクリニックが選ばれるかどうかを検討いただくのです。さらに、その患者さんに対して適切な医療サービスを提供するために必要な医療機器もリストアップしていただきます。自分は内科で開業するから、これこれの標榜科目を掲げればよい、医療機器はこれとこれを導入すれば良いというアバウトな意思決定ではなく、戦略性を持って経営の意思決定を下していただく必要性をお伝えしています。

限られた時間の中で検討いただきますので、診療コンセプトの立案や先生方の強み弱みの分析、標榜科目の考え方、医療機器の導入については、弊社の過去の成功事例を元に、コンサルタントが個別にアドバイスさせていただきながら、ワークショップを行っております。

次号は、診療コンセプトが決まった後の開業エリアの選定、内装工事の進め方についてご紹介します。

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Serialization
診療報酬改定3
外来管理加算-5分ルールは撤廃、ただし処方のみは算定不可

今回の診療報酬改定で議論が盛り上がった項目の一つです。前回改定(平成20年度)で、外来管理加算を算定する際は、患者に対して詳細な説明が必要として5分以上、患者に対応することが求められました。

ただし、この5分を巡って、どこからどこまでをカウントするのかといった末節の議論が繰り広げられたことはまだ記憶に新しいところです。結論としては、概ね5分程度として、患者が診察室に入ってから出て行くまでを目安とし、疑義解釈で患者とのやり取りのモデルまで通知するという事態となりました。

この疑義解釈が出されたときには、患者とのコミュニケーションまで役所がモデルを提示してくれるとは、時代も変わったなと一部の関係者からは揶揄するような声も上がりました。しかし、このモデル対応は消えることなく依然残ったままです。

疑義解釈で示された対応とは、
(1)問診し患者の訴えを総括する、(2)身体観察で得られた所見及びその他所見に基づく医学的判断等の説明、(3)これまでの治療経過を踏まえた療養上の注意等の説明、指導、(4)患者の潜在的な疑問や不安等を汲み取る取り組み―が必要な一連の行動となっています。

今回、この5分ルールは比較的早い段階で廃止の意思決定が行なわれていました。具体的には1月の中医協にかける前には厚生労働省保険局内では廃止の話は決定事項となっていたようです。これも政権交代効果ということでしょう。無論、中医協の2号側委員である医師からの強い要望が下敷きになってはいます。医師会からは、5分ルールを廃止する代わり、診察のない処方箋のみの発行では算定しないという、引き換え条件とは言えないような案が提示され、受け入れられています。

さて、今回の改定では、5分ルールを廃止するに伴い、先に紹介した①から④までの算定に必要な一連の患者への対応について、そのすべてを行う必要はなく、患者の状態に応じて必要と思われることを行なえば算定してかまわないという通知追加されています。

以下確認事項ですが、電話での最新の場合は算定できません。また、診療所ではあまりないことですが、同日受診で、医療機関内である診療科を受診し、その流れで他の診療科を受診した場合は、算定不可。ただし、一旦、帰宅するなどして、再度、来院し他の診療科をしたような場合は算定可となります。

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