医療事務の基礎知識(26)

皆さんこんにちは。今回は、精神科で算定する項目の中で一番よく算定されていると思われる「通院・在宅精神療法」について解説します。専門分野になりますが精神科やメンタルクリニックなど関係者の方々は参考にしてください。

 

■通院・在宅精神療法とは

通院・在宅精神療法とは、入院中の患者以外の患者であって、精神疾患又は精神症状を伴う脳器質性障害があるもの(患者の著しい病状改善に資すると考えられる場合にあっては当該患者の家族)に対して、精神科を担当する医師(研修医を除く)が一定の治療計画のもとに危機介入、対人関係の改善、社会適応能力の向上を図るための指示、助言等の働きかけを継続的に行う治療方法をいいます。そして、精神科を標榜する保険医療機関の精神科を担当する医師が行った場合に限り算定することができる項目です。

 

この通院・在宅精神療法は、同時に複数の患者又は複数の家族を対象に集団的に行われた場合には算定できません。また、通院・在宅精神療法に要する時間も算定に関係します。再診時は5分を超えた場合、区分番号A000に掲げる初診料を算定する初診の日においては30分を超えた場合に限り算定することができます。この時間に満たないときは算定できませんのでご留意ください。

 

■通院・在宅精神療法の点数

2022年度の診療報酬改定で、通院・在宅精神療法の点数が精神保健指定医と非指定医とで点数に格差がつけられ、非指定医の点数が低く抑えられることとなりました。精神保健指定医を取得している先生方にとってはいままでよりもプラスの改定となりましたが、取得していない先生方にとっては10点~15点程度マイナスとなる結果になりました。

 

通院精神療法及び在宅精神療法について、点数は精神保健指定医が行った場合とそれ以外の場合に区分され、以下のように改定されています。

 

 

   現行(2022年3月まで)                                                                            改定後(2022年4月以降)                                                                   

【通院精神療法】                                                    【通院精神療法】 (在宅精神療法についても同様)

      *イは変更ありません

診療時間 点数    診療時間 実施者 点数
ロ 60分以上(初診のみ) 540点 ロ 60分以上(初診のみ) 指定医 560点
それ以外 540点
ハ(1)30分以上 400点 ハ(1)30分以上 指定医 410点
それ以外 390点
   (2)30分未満 330点     (2)30分未満 指定医 330点
それ以外 315点

 

■算定についての主な注意事項(抜粋)

注1 入院中の患者以外の患者について、退院後4週間以内の期間に行われる場合にあっては1 通院精神療法と、2 在宅精神療法を合わせて1週間に2回まで算定できますが、その他の場合にあっては1と2を合わせて週1回に限りの算定になります。

ここでの1週間とは、日曜日から土曜日までの1週間を指します。

 

また退院後とは、自院他院は関係ありません。精神疾患にて入院していた患者が退院したあとは、手厚く注意深い指示や助言等の働きかけが必要であるとの主旨により設定されていますので、自院でも他院であっても退院した翌日から4週間後の1日前までの期間と解釈します。実務では、「退院した日と同じ曜日の4週間後まで」と言われていることが多いかもしれません。(結果は同じです)

 

例) 5月10日(火)に退院した場合 → 5月11日(水)から6月7日(火)までのあいだです

 

このため、レセプトの摘要欄には退院日を記載する必要があります。退院日の記載がない場合は、退院後4週間を超えているものと判断されるため週1回の算定しか認められなくなります。

 

注2 通院・在宅精神療法は、診療に要した時間が5分を超えたときに限り算定することができます。ただし、区分番号A000に掲げる初診料を算定する初診の日において通院・ 在宅精神療法を行った場合は、診療に要した時間が30分を超えたときに限り算定できることとなっています。

 

初診時は30分、再診時は5分を超えることが要件になりますので、レセプトの摘要欄には実施した時間を記載することが定められています。このとき、「30分以上(または5分以上)」との記載では減点されてしまいますので注意が必要です。「以上」では30分(または5分)も含まれますので、超えていないとみなされ減点対象になってしまいます。摘要欄への記載は、実際に行われた時間を「35分」のように記載するか、または「30分超」のような記載のしかたでも構いません。

 

注3 20歳未満の患者に対して通院・在宅精神療法を行った場合(当該保険医療機関の精神科を最初に受診した日から1年以内の期間に行った場合に限る。)は、 350点を所定点数に加算することができます。ただし、注4に規定する加算を算定した場合は、算定できません。

 

この加算は20歳の誕生日の前日までか、または当該保険医療機関の精神科を最初に受診した日から1年以内の期間のどちらか先に到達した日までになります。

 

注4 特定機能病院若しくは区分番号A311-4に掲げる児童・思春期精神科入院医療管理料に係る届出を行った保険医療機関又は当該保険医療機関以外の保険医療機関であって別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、通院・在宅精神療法を行った場合は、児童思春期精神科専門管理加算として、次に掲げる区分に従い、いずれかを所定点数に加算できます。ただし、ロについては1回に限りの算定になります。

 

イ 16歳未満の患者に通院・在宅精神療法を行った場合

 

(1) 当該保険医療機関の精神科を最初に受診した日から2年以内の期間に行った場合 500点

 

(2) (1)以外の場合 300点  (2年以上診療が継続している場合でも算定できるようになりました)

 

ロ 20歳未満の患者に60分以上の通院・在宅精神療法を行った場合(当該保険医療機関の精神科を最初に受診した日から3ヶ月以内の期間に行った場合に限る。) 1,200点

 

ここでの施設基準とは、(1)から(6)まで(内容は省略)複数の要件がありますが、診療所で算定する場合の大まかなポイントは、5年以上にわたって主に20歳未満の患者に対する精神医療に従事した経験を有する専任の常勤精神保健指定医が1名以上勤務しており、過去6ヶ月間に当該療法を実施した患者のうち、50%以上が16歳未満の者であることや、16歳未満の患者の数が月平均40人以上であることなどが挙げられています。

加算される際には、算定要件をしっかり確認してください。

 

 

注5 1のハの(1)並びに2のハの(1)及び(2)については、抗精神病薬を服用している患者について、客観的な指標による当該薬剤の副作用の評価を行った場合は、特定薬剤副作用評価加算として、月1回に限り25点を所定点数に加算できます。ただし、 区分番号I002-2に掲げる精神科継続外来支援・指導料の注4に規定する加算を算定する月は算定できません。

 

注6 当該患者に対して、1回の処方において、3種類以上の抗うつ薬又は3種類以上の抗精神病薬を投与した場合であって、別に厚生労働大臣が定める要件を満たさない場合、所定点数の100分の50に相当する点数により算定することと定められています。

 

別に厚生労働大臣が定める要件とは、特掲診療料の施設基準等別表第10の2の4に掲げる要件(1~3)をいずれも満たすこととなっています。以下の1~3が全て当てはまる場合は、通院・在宅精神療法の点数は逓減しなくてよいのですが、1つでも当てはまらない要件がある場合には100分の50に相当する点数により算定しなくてはなりません。

 

この場合、「1回の処方において、3種類以上の抗うつ薬又は3種類以上の抗精神病薬を投与した場合であって」とありますので、当該処方を行った日の通院・在宅精神療法料のみ100分の50に相当する点数で算定します。3種類以上の抗うつ薬又は3種類以上の抗精神病薬を投与している患者は毎回100分の50に相当する点数で算定しなくてはならないというわけではありませんのでお間違いのないようにしてくださいね。

 

1.当該保険医療機関における3種類以上の抗うつ薬及び3種類以上の抗精神病薬の投与の頻度が低いこと。(抗うつ薬又は抗精神病薬のいずれかを処方された患者のうち、3種類以上の処方をした患者は1割未満であるか、または20名未満である場合を指します

2.当該患者に対し、適切な説明及び医学管理が行われていること。

3.当該処方が臨時の投薬等のもの又は患者の病状等によりやむを得ないものであること。

 

~(注7と注8は省略)~

 

注9 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、1を算定する患者であって、重点的な支援を要するものに対して、精神科を担当する医師の指示の下、専門の研修を受けた看護師又は精神保健福祉士が、当該患者又はその家族等に対して、医療機関等における対面による20分以上の面接を含む支援を行うとともに、当該月内に保健所、市町村、指定特定相談支援事業者、障害福祉サービス事業者その他の関係機関と連絡調整を行った場合に、療養生活継続支援加算として、初回算定日の属する月から起算して1年を限度として、月1回に限り350点を所定点数に加算することができます。

これは、精神疾患を有する者の地域定着に向けた多職種による支援を評価したもので、2022年度の改定により新設された項目になります。

 

■引き続き算定可能な147点

新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いにより算定可能とされている精神疾患を有する定期受診の患者に対して、電話や情報通信機器を用いた診療及び処方を行う場合に算定が認められている147点が、点数改定後も引き続き算定できます。

 

新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点から、電話や情報通信機器を用いた診療を行う以前より、対面診療において精神科を担当する医師が一定の治療計画のもとに精神療法を継続的に行い、通院・在宅精神療法を算定していた患者に対して、電話や情報通信機器を用いた診療においても、当該計画に基づく精神療法を行う場合はB000 の2に規定する「許可病床数が 100 床未満の病院の場合」の 147 点を月1回に限り算定できることとなっています。

 

<参考資料>

■厚生労働省保険局医療課 「令和4年度診療報酬改定の概要 個別改定事項Ⅳ(精神医療)

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000912335.pdf

 

■医学通信社 「診療点数早見表【医科】2022年4月現在の診療報酬点数表」

 

 

今回は、通院・在宅精神療法のことだけになりますが、次回も精神科での算定に役立つ内容を書きたいと思います。

 

 

 


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