医療事務の基礎知識(21)

皆さんこんにちは。今回はPPI製剤のことやヘリコバクター・ピロリ感染の検査についてなど、消化器内科の内容です。傷病名の付け方は大切です!

 

■傷病名は大丈夫?

胃の内視鏡検査を行う際には、当然「胃」の傷病名が必要です。(疑い病名でも可)

医学的には、「逆流性食道炎」でも胃の内視鏡検査を行うようですが、診療報酬の審査では、胃の内視鏡検査料(1,140点)を算定されていて、傷病名が、「逆流性食道炎」しか無かった場合には、「D306 食道ファイバースコピー 800点」に減点される可能性があります。(食道よりも奥である)胃までみる必要性が確認できないということで減点するようです。

また、胃の内視鏡検査時に組織を採取して、悪性腫瘍ではないかを疑い、病理検査をされることもあると思いますが、このときには「胃がんの疑い」が必要になります。

このように、医学的には正しくて当たり前のことであっても、保険診療では認められないこともありますので、傷病名の付け方にはお気をつけください。

 

■プロトンポンプ阻害薬(PPI製剤)

PPI製剤は、胃潰瘍と逆流性食道炎の場合は8週間まで、十二指腸潰瘍では6週間までの処方が認められています。この期間を超えた分は減点の対象です。それ以上継続する場合には、逆流性食道炎の維持療法で処方されることと思いますので、「維持療法の必要な難治性逆流性食道炎」という傷病名が必要です。「難治性逆流性食道炎」でも認められるとは思いますが、「難治性=治りにくい」だけでなく、再発や再燃を予防するための維持療法が必要であることもポイントになりますので、「維持療法の必要な難治性逆流性食道炎」が適応病名になると思います。

ちなみに「パリエット錠20mg」は、維持療法では認められていません。また、「タケキャブ錠」を逆流性食道炎で処方される場合には、通常4週間までであり、効果が不十分の場合は8週間までと限定されていますのでご留意ください(再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法を目的として用いる場合を除く)。

 

■気をつけて

胃潰瘍でも逆流性食道炎でも8週間までは認められますが、どちらでも付いていればよいというわけではありません。胃潰瘍は特定疾患の対象病名でもありますので、最初の8週間までは胃潰瘍を付けていて、8週間を超えたら、維持療法の必要な難治性逆流性食道炎です、なんていうのはおかしいですよね。審査で認められることは大切ですが、あまりにも事務的で整合性に欠ける病名の付け方は考えものです。

 

 

■期間の数え始めは

8週間(または6週間)の期間をいつから数え始めるかについては、基本的には胃潰瘍や逆流性食道炎などの傷病名が付いた日からと考えるのが一般的です。レセプトの摘要欄に、「月/日よりPPI製剤の投与開始」とコメントを入れることもありますが、この記載の目的は、処方期間の数え始める日がいつからであるかを明確にするためですので、記載が必要なのはPPI製剤の処方が傷病名の付いた日からでは無かった(傷病名が付いた日よりも後からだった)場合であって、傷病名が付いた日から処方されたのであれば、記載は不要と思われます。

 

■ヘリコバクター・ピロリ感染

ピロリ菌の感染を疑って検査をされることもあると思いますが、ピロリ菌の検査は、「行ったら、疑い病名を付けておけばよい」というものではありません。ピロリ菌の有無を疑うには、内視鏡検査で胃炎か胃潰瘍、または十二指腸潰瘍の確定診断がされている患者(潰瘍の診断は造影検査でも可)でなければ認められませんので、これらの確定病名と、レセプトの摘要欄には内視鏡検査等の実施日を記載する必要があります。(6ヶ月以内であることが望ましい)

 

また、ピロリ菌の感染が確定した患者であっても、除菌療法が保険適用となるのは、下記のいずれかに該当する患者に限られますのでご留意ください。(それ以外の場合は保険適用外です)

 

1.内視鏡検査又は造影検査において胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の確定診断がなされた患者

2.胃MALTリンパ腫の患者

3.特発性血小板減少性紫斑病の患者

4.早期胃癌の内視鏡的治療後の患者

5.内視鏡検査において胃炎の確定診断がなされた患者

 

■感染診断の検査

ピロリ菌の感染診断を行う検査は6通りありますので、どの検査方法で行ったのかをしっかりと確認し、検体が血液の場合には採血料の算定もれや、尿素呼気試験で行った場合には、使用した薬剤料(ユービット錠またはピロニック錠)の算定もれなど誤りのないようにお気をつけください。

 

【内視鏡を使用する検査】

 ①迅速ウレアーゼ試験 (D012 「7」 60点)

 ②(組織)鏡検法 (N000 病理組織標本作製 860点)

 ③培養法 (D018 細菌培養同定検査「2」 180点)

【内視鏡を使用しない検査】

 ④抗体測定 (D012 「9」尿中 70点 、「12」血清 80点)

 ⑤尿素呼気試験 (D023‐2 「2」 70点)

 ⑥糞便中抗原測定 (D012 「23」 142点)    点数は、2020年4月の点数になります

 

 

■ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌薬剤

ピロリ菌の除菌薬として、「プロトンポンプ阻害薬(PPI製剤) + アモキシシリン + クラリスロマイシン」の3剤を併用で7日間服用します。それぞれの薬剤を組み合わせて処方される場合もあると思いますが、これらがすべて含まれてセットになっている商品もあります。1シートごとに1日分となっていますので、7シートで7日分の処方になります。

 

他にも、タケキャブを含むセットや、クラリスロマイシンの代わりにメトロニダゾールを含むセットもありますね。

 

 ●ラベキュアパック … 「プロトンポンプ阻害薬(PPI製剤) + アモキシシリン + クラリスロマイシン」 

 ●ラベファインパック … 「プロトンポンプ阻害薬(PPI製剤) + アモキシシリン + メトロニダゾール」 

 ●ボノサップパック … 「タケキャブ + アモキシシリン + クラリスロマイシン」 

 ●ボノピオンパック … 「タケキャブ + アモキシシリン + メトロニダゾール」

 

■除菌終了後

除菌薬剤を服用終了後、4週間以上経過したあとに再び感染診断を行い、除菌が成功したか否かを確認すると思いますが、このときレセプトの摘要欄には除菌終了日の記載が必要ですので忘れないようにしてください。

そして、この再検査の結果がピロリ菌陽性だった場合には、再度1回に限り除菌療法(二次除菌)を行うことができます。ここまでは保険適用の範囲内です。

 

今回はここまでにしておきます。

 


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