皆さんこんにちは。今回は、検査を実施したときの算定の注意点について解説します。ルール上の注意点と、傷病名の注意点をほんの少しずつですがお伝えしますね。

 

■糖尿病の検査

糖尿病の患者によく行われる血液学的検査のヘモグロビンA1c(HbA1c)と、生化学的検査(Ⅰ)のグリコアルブミン又は1、5アンヒドロ‐D‐グルシトール(1、5AG)。この3項目は、同一月中に併せて2項目以上行っても、主たるもの(どれか1項目)を月に1回しか算定できません。ですが、下記4通りのいずれかに当てはまる患者の場合は、これら3項目のうち、同一月に2項目まで算定することができます。ただし、同じ項目を2回算定することはできません。

 

・妊娠中の患者

・1型糖尿病の患者

・経口血糖降下薬の投与を開始してから6ヶ月以内の患者

・インスリン治療(自己注射)を開始してから6ヶ月以内の患者

 

ここで気をつけるポイントが、電子カルテでは2項目以上を同一月に入力すると併用算定不可のエラーメッセージがでると思います。ですが、この4つに当てはまる患者の場合は、もう1項目算定ができますのでスルーをしても構わないと思います。

 

■迷いませんか?

検査を行ったときの適応病名を本などで調べてみると適応の疾患名は出ていますが、ここで問題なのが、疑い病名でも認められる検査なのか、確定病名でなければ認められない検査なのか、までは記載がされていないことです。中には疑い病名でなければ認められない検査もありますので内容を理解されていないと判断に迷われると思います。ここで一部ご紹介しますね。

 

■疑い病名でも可

HbA1c(ヘモグロビンA1c)は、「糖尿病」の確定病名でも「糖尿病の疑い」でも認められます。

耐糖能精密検査(糖負荷試験)も「糖尿病の疑い」で認められますが、初診月に限られていることが一般的です。初診月か、または初めて糖尿病を疑った初回の月という解釈になりますので、それ以外の月では減点される可能性もありますが、支払基金の審査情報提供事例に、『血糖値、HbA1Cの数値により強く糖尿病が疑われる場合、負荷時におけるインスリン又はCペプチドの測定は、糖尿病の診断だけでなく、インスリン分泌能、インスリン初期分泌の低下、インスリン抵抗性等を同時に把握でき、病型・病態の診断や治療法の選択上必要である。』との記載がありますので、糖尿病の確定診断後であっても認められることはあると思います。

 

 

■確定病名が必要です

インスリン(IRI)は、糖尿病の患者に自己注射を開始するかどうかを判断するために行う検査です。またCペプチド(CPR)は、インスリン注射を行っている患者に自分の体でつくられた内因性インスリンを推定するために行われる検査のため、どちらも糖尿病の確定病名が必要です。「糖尿病の疑い」では認められませんのでご留意ください。

抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ抗体(抗GAD抗体)も、糖尿病の確定診断が必要です。糖尿病が確定した患者に対して、Ⅰ型糖尿病(インスリン依存型糖尿病)ではないか鑑別するための検査になりますので、糖尿病の確定病名と「Ⅰ型糖尿病の疑い」が必要です。

 

■アルブミン定量(尿)

支払基金の審査情報提供事例に、『糖尿病性早期腎症(第1期又は第2期の記載がないもの。)に対してのアルブミン定量(尿)の算定を認める。』と記されています。

アルブミン定量(尿)を行った際には、糖尿病の確定病名と、「糖尿病性腎症の疑い」か、または早期糖尿病性腎症の確定病名のどちらかが必要です。算定は3か月に1回限りと定められていますし、レセプトには、前回の検査日か、初回の場合は、「初回」との記載が必要とのルールになっています。記載がないと返戻される可能性がありますので忘れずに記載してください。

 

■甲状腺の検査

甲状腺の検査で、FT3・FT4・TSHの3項目をセットで行われることがあると思います。診断時にはこの3項目でも認められると思いますが、 甲状腺機能低下症の経過観察時ではTSH・FT4 の2項目のみ で、FT3 は認められないケースがあります。また甲状腺自己抗体検査(TRAb、TgAb、TPOAb)は、疑い病名でのみ認められます。確定診断後の経過観察としては原則認められておりませんのでご留意ください。

 

■リウマチの検査

抗CCP抗体とMMP-3は同時算定不可であると算定のルール上で決まっています。この2項目は日にちが異なっても同一月には算定されない方がよろしいと思われます。

抗CCP抗体が算定できるのは原則1回限りとなっていますし、「リウマチの疑い」か、または関節リウマチに対する治療薬の選択のために行う場合が対象となります。確定診断後に行う場合には、詳記(薬剤の選択または変更のために実施したというコメント)をレセプトの摘要欄に記載する必要があります。

MMP-3は、経過を追うためのものと解釈している方もいらっしゃるかもしれませんが、関節リウマチの診断、または治療効果の指標として行われますので、リウマチの疑いで検査をされることもあると思います。

 

 

■抗CCP抗体とRF定量の同時算定について

この2つは同時算定をされても保険のルール上は問題ありませんので、一緒に算定されても構わないと思いますが、必ずセットで行われていると減点されることもあるようです。必要に応じて段階的に行われることが望ましいようです。

抗CCP抗体は、「関節リウマチと確定診断できない者に対して、診断の補助として検査を行った場合に、原則として1回を限度として算定できる。ただし、当該検査結果が陰性の場合においては、3ヶ月に1回に限り算定できる。なお、当該検査を2回以上算定するに当たっては検査値を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。」という決まりごとがありますので、リウマチの確定診断後に行われた場合には、減点される可能性があります。リウマチの確定診断後は、生物学的製剤の変更を判断する目的で行われた測定に対してのみ保険で認められているのが現状のように思います。こちらは、おおよそ1年に1回ぐらいが目安ではないかと思われます。

 

■MMP-3

MMP-3は、

〈参考〉同時算定の可、不可について

    ・RF定量 と MMP-3 の同時算定は です

    ・RF定量 と 抗CCP抗体 の同時算定は です

    ・MMP-3 と 抗CCP抗体 の同時算定は 不可 です

 

このようなリウマチの検査は、確定病名がありましても毎月のように行っていると減点される可能性がかなり高いのが現状です。炎症が強いとき以外は3ヶ月に1回ぐらいが目安になると思われます。

 

■まとめ

検査の適応病名を判断するのはなかなか難しいですよね。「この病気ではないよね」と確認して、消去するための検査も実際にはあると思いますし、検査1つ1つにすべて病名が必要なのか、ということもわからないと悩まれるのではないでしょうか。

その中のほんの一部のことを今回は書いてみました。今後もこのようなポイントをときどき書いていこうと思います。

 

 


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