医療事務の基礎知識(15)

皆さんこんにちは。今回も、前回前々回に引き続き処方箋料のお話しです。処方箋料は、要件により3通りの点数があることはすでにお伝えしてきましたので、今回は処方箋料に対する一般的な加算項目3つについて解説します。

 

■3歳未満に対する乳幼児加算

3歳未満(2歳まで)の乳幼児に対して処方箋を交付した場合は、乳幼児加算として、処方箋の交付1回につき3点を所定点数に加算できます。

 

■特定疾患処方管理加算

 診療所又は許可病床数が200床未満の病院である保険医療機関において、入院中の患者以外の患者(別に厚生労働大臣が定める疾患を主病とするものに限る)に対して処方箋を交付した場合に加算できる項目です。医学管理等の「B000特定疾患療養管理料」とは異なり、初診の日からでも算定できます。点数は2通りあります。

 

  • 特定疾患処方管理加算1 (18点)  暦月で2回まで算定できます
  • 特定疾患処方管理加算2 (66点)  暦月で1回限り算定できます

 

(注) 同一月に「1」と「2」を両方算定することはできません

 

高血圧症や糖尿病、気管支喘息など、厚生労働大臣が特定疾患として別に定める疾患を主病とする患者に対して、処方を行った場合に算定できる項目です。これは、医師が主病に対する薬剤との飲み合わせや副作用について、問題がないかを判断したり患者に説明することを評価した点数になりますので、「1」の18点は投薬として処方する薬剤であれば、何でも構いません。かぜ薬や湿布薬を処方したときでも算定できます。

 

しかし、「2」の66点を算定する場合には、条件が2つあります。

  ①厚生労働大臣が特定疾患と定めている疾患を主病とする患者に対して

  ②その主病である特定疾患の薬剤を1回に28日分以上処方した場合

 

■①②を解説

①厚生労働大臣が定める疾患があればよいというわけではありません。主病でなければ減点されてしまいます。「主病である特定疾患の薬剤を」ということですから、例えば高血圧症と糖尿病がある場合で、高血圧症だけを主病とし、糖尿病の薬剤のみを処方した場合は算定不可です。主病は複数あっても構いませんのでご留意ください。

また、特定疾患に関連はあるものの、その薬剤自体は特定疾患に対する治療薬ではない場合も減点される可能性があります。

特定疾患の薬剤でなければ、「1」の18点の算定になります。

 

②1回につき28日分以上の処方とは、隔日で服用するような場合でも28日分以上の処方がされていれば「2」が算定できますし、吸入薬などの外用薬であっても1回につき28日分以上が処方されていれば「2」の66点が算定できます。

 

特定疾患の対象ではない疾患に対しての処方は、1回に28日分以上の処方であっても「2」の66点は算定できません。「1」の18点になりますのでお間違いのないようにしてください。

電子カルテやレセコンの多くは、特定疾患に対する薬剤であるか、ということまでは判断できません。処方した日数だけで判断するのが一般的ですので、機械任せにしていると判断を誤ってしまう可能性が高いと思われます。また、外用薬は全量×1と入力するため、自動的には「2」を算定することはないと思いますので、医療機関側が損をすることになります。入力する人がしっかりと確認してくださいね。

 

 

 

 

■同月併用算定不可

医学管理等の項目の中の「慢性疼痛疾患管理料」を算定した同一月には、特定疾患処方管理加算は算定できません。この管理料を初めて算定する月の、管理料を算定する以前に特定疾患処方管理加算を算定していたとしても減点になりますのでご留意ください。

このほかにも、「難病外来指導管理料」を算定した同一月には算定できませんが、一部例外として、特定疾患療養管理料の対象疾患でもあり、難病外来指導管理料の対象疾患でもある疾患を主病としている患者については、難病外来指導管理料を算定して、特定疾患処方管理加算を算定することは認められています。

 

■一般名処方加算

処方箋に商品名ではなく薬剤の一般的名称を記載して交付した場合は、内容に応じて、次に掲げる点数を処方箋の交付1回につき1回、どちらか加算できます。

 

  • 一般名処方加算1 (7点)

    交付した処方箋に含まれる医薬品のうち、後発医薬品が存在する全ての医薬品(2品目以上の場合に限る)が

               一般名で処方されている場合に算定できます

 

  • 一般名処方加算2 (5点)

    交付した処方箋に含まれる医薬品のうち、後発医薬品が存在する医薬品が1品目でも一般名で処方されている

               場合に算定できます

 

一般名処方とは、医師が単に先発医薬品か後発医薬品かといった個別の銘柄にこだわらずに処方を行っているものであり、薬価基準に収載されている医薬品名に代えて、一般的名称に剤形および含量を付加した処方箋の記載方法です。推奨されている標準的な書き方は下記のとおりです。

 

    一般名処方の標準的な書き方 :【般】+「一般的名称」+「剤形」+「含量」

               (例:【般】 アムロジピンベシル酸塩錠 5mg)

 

■対象薬剤について

一般名処方加算1については、診療報酬上の評価の対象となる後発医薬品の全てが対象となります。処方箋には、先発医薬品のない後発医薬品も一般名で記載する必要があります。

一般名処方加算2については、後発医薬品のある先発医薬品のうち、価格差のある後発品があることから「先発医薬品に準じたもの」とみなされるものが対象となります。従って、後発医薬品の存在しない漢方、後発医薬品のみ存在する薬剤等について一般名処方した場合は算定できません。(「1」の対象となります)

カロナールやバイアスピリン、マグミットやメチコバールなども先発医薬品のない後発医薬品であり、後発医薬品のみ存在する薬剤になります。

 

また、薬剤名だけで判断はできません。先発医薬品と後発医薬品の両方がある場合でも、薬価が同じで価格差がない場合は、先発医薬品のある後発医薬品とはみなされないため、一般名処方加算「2」の対象とはなりません。

 

 例) 一般名:トラネキサム酸 250mg錠

    ・トランサミン錠  250mg 「第一三共」  1錠 10.1円  発品

    ・トラネキサム酸 250mg 「YD」           1錠 10.1円  発品

 

トラネキサム酸250mg錠は、先発品も後発品も同一価格であり、厚労省のホームページ「一般名処方マスタ」にも

「加算1」と記されていますので、一般名処方加算「2」の対象とはなりません。

 

 例) 一般名:トラネキサム酸 500mg錠

    ・トランサミン錠  500mg 「第一三共」  1錠 16.2円  発品

    ・トラネキサム酸 500mg 「YD」        1錠  9.5円   発品

 

同じトラネキサム酸であっても、500mg錠の場合は先発品と後発品で薬価が異なります。厚労省のホームページ「一般名処方マスタ」には「加算1.2」と記されています。

 

一般名処方加算の対象品目については、厚生労働省HPの「一般名処方マスタ」でご確認ください。
 

※ https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/shohosen_200401.html

 

 

 

 

■処方箋料算定の注意事項

同一の保険医療機関が一連の診療に基づいて、ひとりの患者に同時に2枚以上の処方箋を交付した場合も、処方箋料は 1回として算定します。

 

複数の診療科を標榜する保険医療機関において、同日に2以上の診療科で、異なる医師が処方を行った場合は、それぞれの処方につき処方箋料を算定することができます。

 

同一の患者に対して、同一診療日に、一部の薬剤を院内において投薬し、他の薬剤を院外処方箋により投薬することは、原則として認められません。

同日再診で1回目は診療時間内に来院のため院外処方で処方箋を交付し、2回目は時間外のため院内処方を行った場合などは、その旨のコメントをレセプトに記載する必要があります。

 

自己注射の薬剤を院外処方せんで投与することはできますが、同時にその他の投薬がなく自己注射の薬剤のみを処方する場合は、処方箋料は算定できません。

また、注射器、注射針又はその両者のみを処方箋により投与することは認められていません。

 

 

まとめ

医療事務の基礎知識(13)(14)(15)と3回にわたって処方箋料について解説してきました。処方箋料はとてもよく算定されている項目だと思いますが、通常は機械任せにしているという医療機関がほとんどではないでしょうか。日々忙しい業務の中で細かいことまでは気にしていられないと言われることもありますが、知らないよりは分かっていらした方がいいと思いますので、こんな決まりごとやルールがあったのかと新しい発見でしたり、業務のお役に立てていただけましたら幸いです。

 

 


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