医療事務の基礎知識(11)

皆さんこんにちは。今回も、前回に引き続き「処置料」について解説します。

今回は、前回触れなかった眼科と耳鼻科、そして皮膚科の専門的な処置の一部になります。

 

点数はそれぞれの処置ごとに定められています。目や耳など対称器官の処置は、処置名の後に(片側)の記載があれば片側ごとに算定できますが、(片側)の記載がない処置は、片側だけに行っても両側に行っても、算定できる点数は同じです。

 

■まずは眼科から

目は左右にありますが、眼科の処置は基本的には(片側)の記載がないので、片側だけでも両側に行っても点数は同じで1回しか算定できません。

 

◆「J090 結膜異物除去 100点」は、1眼瞼ごとにそれぞれ算定できます。眼瞼とはまぶたのことです。片側 上下にあり、上まぶたは上眼瞼、下まぶたは下眼瞼。結膜下に入った異物を除去する場合には、手術の項目になり、「K222 結膜下異物除去術 470点」で算定します。

 

◆「J089 睫毛抜去」は、まつげを抜く処置です。逆さまつげで角膜や結膜を傷つけてしまうような場合に行われます。点数は、「少数の場合 25点」「多数の場合45点」とで異なり、上下左右を併せて1日に1回の算定になります。ここでいう少数とは5~6本程度を指し、それ以上は多数の場合で算定します。

 

◆眼科でよく算定される処置といえば「眼処置 25点」だと思いますが、眼の処置といっても、目を洗ったり(洗眼)、目薬を差したり(点眼)というだけでは算定できません。このような行為(洗眼や点眼)は基本診療料(初診料や再診料)に含まれる扱いになっています。では、どうしたら算定できるのか。ポイントは「眼帯」です。片眼帯や巻軸帯を必要とする処置が行われていれば算定できます。これも基本的には両眼を併せて1回として算定しますが、両眼で疾患が異なる場合には、片側ずつ算定できます。

 

 

 

■耳鼻科での処置

 

◆耳の処置からみていきます。

「J095 耳処置」には、耳浴や耳洗浄が含まれており、片耳だけでも両耳に行っても1回として算定します。点数は25点です。

 

◆「J113 耳垢栓塞除去(複雑なもの)」は、耳垢水の助けを必要とするぐらいの病態や、顕微鏡下での操作を必要とするような耳垢除去の場合に算定できるもので、完全に除去した場合に月1回算定できます。点数は片耳なら100点、両耳の場合は180点で、6歳未満の乳幼児の場合は、乳幼児加算55点が加算できます。完全に除去した際に算定できることから、傷病名の「耳垢栓塞」は治癒と転帰します。

簡単な耳垢栓除去は基本診療料に含まれて算定できませんのでご留意ください。

 

◆「J097 鼻処置」は、鼻吸引、単純鼻出血及び鼻前庭の処置を含み、片側・両側の区別なく14点です。「J098 口腔,咽頭処置 14点」と同時に行った場合には、どちらか1つだけを算定します。(併用算定不可)

 

◆ネブライザーには、「J114 ネブライザー 12点」と、「J115 超音波ネブライザー(1日につき)24点」があります。この2つは、同時算定できません。また鼻あるいは副鼻腔と、喉頭のネブライザーを同時に算定することもできませんが、それぞれの傷病名があり、理由を記載すれば薬剤料は両方の分を算定することができます。

ネブライザーで気をつけることは、使用薬剤と傷病名です。薬剤で抗生物質を使う場合、たまに注射薬を使用されているレセプトを見かけますが、注射薬の用法にはネブライザーでの使用はありませんので減点されてしまいます。また、長期間の漫然とした抗菌薬の使用も、減点や返戻の対象になりやすい傾向にあると思われます。

 

ネブライザーに使用する薬剤料は、全て使用量で計算します。生食等アンプル入りの薬剤も使用量での算定になりますので、コンピューターに入力する際は次のようになります。

 

例えば生食2ml使用の場合 : 10mL 1Aの商品を使用の場合は、「0.2 A」と入力します

                 20mL 1Aの商品を使用の場合は、「0.1 A」と入力します

 

◆注射薬を使用の場合、筋注や静注など注射に使用した場合で、1本未満の使用のときは、アンプル入りは1本分で算定可、バイアル瓶入りの薬剤は使用量のみを算定するという算定のルールがありますが、「ネブライザーに使用した薬剤料の算定は、アンプル入りでも使用量のみを算定する」という決まり(ルール)になっています。

そして、処置に使用した薬剤は、1つの処置料ごとに、すべて円(金額)のうちに合算してからそれを点数に直して算定します。コンピューターが計算してくれるので問題ないとは思いますが、薬剤ごとに点数に直してから合計するのは誤りです。

 

◆気をつけて

生食はどれをお使いになられても構いませんが、クリニックで購入されている商品と、レセプトで請求している商品は必ず同じものであることが大切です。

個別指導の際に、購入伝票の控えなども提出する可能性があります。このときに、請求している商品と異なれば指導を受けて、差額がある場合には返金の対象になりますのでご留意ください。

傷病名にも注意が必要です。ネブライザーは単なる鼻炎や感冒、上気道炎、咽頭炎、扁桃炎では認められません。超音波ネブライザーは、鼻炎やアレルギー性鼻炎では算定不可のようです。ご留意ください。

 

◆「J098 口腔,咽頭処置 14点」は、口腔内の外傷や炎症、咽頭の疾患に対して処置を行ったときに算定します。一般的には口内炎や咽頭炎、扁桃炎に対しての処置が多く、ルゴール液などの塗布を行ったときはこちらで算定します。鼻処置とは併用算定不可です。

 

◆扁桃腺の腺窩を吸引したり、微温の生食やイソジン液などで洗浄した場合には、「J098‐2 扁桃処置 40点」を算定します。片側だけでも両側に行っても1回の算定です。洗浄液の生食は100mLぐらいが妥当であり、使用した薬剤料は別途算定可能です。この処置には咽頭処置が含まれます。

 

 

 

■皮膚科の処置

 

◆「J056 いぼ等冷凍凝固法」は、3箇所以下 210点、4箇所以上 270点です。算定の頻度は、1週間から2週間に1回が目安です。最低でも、間隔が6日はあいていないと減点される可能性があります。

 

◆「J057 軟属腫摘除」 水いぼを除去した場合の算定です。点数は3通りに分かれています。ここでの注意点は、疼痛緩和のために使用するペンレステープの算定です。実際には、処置の前に貼付してきてもらいますので、患者にはあらかじめ渡しておかれると思いますが、ペンレステープは処置薬剤として、軟属腫摘除の処置料と一緒に算定します。ですので、前もって渡したときに処方薬として算定されますと、減点される可能性がありますし、処方箋料が減点される可能性もありますのでご留意ください。算定は、こちらもおおむね1週間に1回が目安です。

 


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