医療事務の基礎知識(2)

皆さんこんにちは。今回は、初・再診料の「加算」についてお伝えします。

前回に引き続き初・再診料のお話になりますが、その中でも診療する時間帯によってできる加算についてわかりやすく解説したいとと思います。

まずは、時間外加算・休日加算・深夜加算についてです(時間外加算等といわれます)。

・時間外加算…表示されている診療時間以外の時間(休日加算と深夜加算の対象を除く)

・休日加算…日曜日および国民の祝日と、年末年始(12月29日~31日および1月1日~3日)

・深夜加算…夜10時から翌朝6時まで

これらの加算は併用算定不可です。条件が重複するときには、点数が高くなる方の加算を1つだけ算定します。また、これらの加算には共通の大切なポイントが3つあります。

 

1.医療機関が「診療を行っていない時間帯」に加算ができます

2.診療のための受付時間が上記の時間帯であった場合に加算ができます

3.患者からの希望で緊急を要する診察を行った場合に加算ができます

 

1.→ 医療機関が診療を行っていない時間帯とは、診療時間として表示されていない時間帯であり、診療体制が解かれている状態にある場合を指します。例えば診療時間が18時までと表示している医療機関に18時を過ぎて受診した場合でも、まだ診療中であったり、診療待ちの患者さんがいるような場合には、診療体制が整っていることになりますので時間外加算は算定できません。

また、昼休み中の診療には、時間外加算等は算定できませんのでご留意ください。

 

2.→ これらの時間帯に診療の受付をされた場合に加算ができます。診察の開始時間や会計時の時間ではありませんのでご留意ください。

 

3.→ 患者からの希望とは、あくまでも患者が緊急を要して来院し、診察を行った場合をいいます。医師の方から来るようにとあらかじめ約束をしていて診療を行ったときには加算はできません。また患者の希望であっても、いつもの薬がほしいなどと急を要さないような場合も加算は出来ませんのでご留意ください。緊急を要するとは、次に診療体制が整うまで(例えば翌日の朝まで)このままの状態では放置できない緊急を要する状態を意味します。

 

 

■条件が重複するとは

間違えやすい時間外加算と休日加算の重複について、点数表を使って確認してみたいと思います。

 

A000 初診料 注7

A001 再診料 注5 の 時間外、休日、深夜加算

 

点数表には、A000初診料 注7『保険医療機関が表示する診療時間以外の時間、休日又は深夜において初診を行った場合は、それぞれ85点、250点又は480点を所定点数に加算する』と記載されています。(カッコ内は省略)

また、休日加算の取扱いとして、2020年4月(医学通信社)点数表P44左側 →休日加算の取扱い

(イ) 休日加算は次の患者について算定できる。

(ロ)当該休日を休診日とする保険医療機関に、又は当該休日を診療日としている保険医療機関の

診療時間以外の時間に急病等やむを得ない理由により受診した患者(上記(イ)以外の理由に

より常態として又は臨時に当該休日を診療日としている保険医療機関の診療時間内に受診し

た患者を除く

 

上記の加算が算定できるときとは、医療機関が診療を行っていない時間帯であって、急病等やむを得ない理由により患者の方から受診を希望して診察を行った場合です。

ですから、医療機関が「診察をします」と表示している時間帯には、これらの加算はできません。

たとえば、日曜日を診療日と表示している医療機関の場合は、表示している時間のあいだは休日加算は算定できません。しかし、表示している時間を過ぎた診療時間終了後は時間外でもありますが、日曜日は休日加算の対象にもなっていますので休日加算が算定できます。(時間外加算と休日加算の併用算定は不可)

 

このことから、12月29日や30日も休日加算の対象ではありますが、上記(ロ)のマーカー部分にありますように「臨時に診療日としている保険医療機関の診療時間内に受診した患者」には休日加算は算定できません。

 

 

■間違えないで!

地域の輪番制当番医として休日診療を行われた際には休日加算が算定できます。これは先生の希望で開業されるのではなく、医師会等より頼まれて開業(診療)をされることと思いますので、点数表P44左側 →休日加算の取扱い 「イ 休日加算は次の患者について算定できる。」の(イ)客観的に休日における救急医療の確保のために診療を行っていると認められる~ の③に該当します。

 

■ここがポイント!

日曜日等、休日加算の対象となる日に診療を行われた場合で、休日加算ができるときとできないときの違いは、当番医などで医師会等より頼まれて開業されている場合には休日加算は算定できます。院長先生が自ら「診療します」といわれて開業された場合には加算はできません。

 

また、平日の休診日に緊急にて診療を行われた場合には「時間外加算」になります。

当院は休診日(休みの日に診療をした)だからと言って休日加算を算定されている間違えを見かけることがありますが、休日加算の対象に平日は含まれていませんのでお気をつけください。

 

■夜間・早朝等加算について

次は、夜間・早朝等加算についてです。

・平日 午後6時から午前8時までの間

・土曜 昼12時から翌朝午前8時までの間(深夜及び休日を除く)

・休日または深夜

 

A000 初診料 注9、A001 再診料 注7に規定する「夜間・早朝等加算」は、週30時間以上開業している診療所に限り算定できる加算です。医療機関が開業している時間帯であって、定められている時間帯に診療の受付をした場合に加算ができます。この定められている時間帯の中に「休日」とありますので、日曜日等、休日加算の対象となる日を開業日としている医療機関や年末で12月29日以降に院長先生が自ら「診療をします」といわれて診療を行われた場合には、診療開始時点からすべての患者さんに「夜間・早朝等加算」50点が算定できます。

ただし、D282‐3コンタクトレンズ検査料を算定する場合や、J038人工腎臓の「注1」に規定する加算を算定する場合など、夜間・早朝等加算が算定できない場合もありますのでご留意ください。

 

また、「平日は午後6時まで診療」と表示している医療機関では、平日に夜間・早朝等加算は算定できません。上記の例で、午後6時以降に患者が来院したが、まだ他の患者さんの診療が継続中であり時間外加算が算定できない場合に、この夜間・早朝等加算が算定できるか? というと算定はできないのでお気をつけください。これが、「平日は午後6時30分まで診療」と表示している医療機関では、6時以降に受付をされた患者さんにはすべて夜間・早朝等加算が算定できますので、表示している6時30分を過ぎて受付をされた患者で、時間外加算の対象にならない場合もこの50点は算定できます。損のないように算定してください。

 

ここに注意!

■大きな違いを把握して

診察料に対する時間外加算、休日加算、深夜加算は医療機関が「診療を行っていない時間帯」に算定できる加算です。そして夜間・早朝等加算は医療機関が「診療を行っている時間帯」に加算するものです。ですからこの2つが重なる(両方を算定する)ことはありません。

 

■年末年始の算定に気をつけて

12月29日から1月3日までは休日加算の対象になっていますので、休日加算を算定できると思われている方もいらっしゃるかもしれません。年末年始(上記期間中)に「夜間・早朝等加算」50点が算定できることは意外と知られていないこともあり、損をされている医療機関もあるように思います。休日加算と夜間・早朝等加算の違いを今一度確認してみてください。

 


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