現役世代に向けた積極的な受診の動機づけと、適正な診断、適切な医療に導く総合内科医療を実践

藤田英理 先生 インタビュー

内科総合クリニック人形町
院長

藤田先生は、医師になられる前に、一般企業での勤務経験がおありになるのですね。

東京大学医学部の保健学科(現健康総合科学科)はさまざまな講座の集まりでしたが、私は専ら遺伝学の講座で基礎研究をやっていました。卒後、保険会社での勤務などを経た後に横浜市立大学医学部に進みました。社会人として医師の世界にだけ浸かってきていない分、患者さん視点で医療と向き合うことができていると感じています。

お父様もお医者様だとうかがいました。医師を目指されたのは、やはりお父様の勧めでしょうか。

父は循環器内科の専門医で30歳を過ぎて自院を開業しましたが、子どものころの私は医師になることに消極的でした。大学受験を迎え、父は本音では医学部への進学を望んだようですが、厳しい父に対する反発も少しあって遠回りの道を選びました。現在、アメリカに在住している姉も同じような道を歩んで医師になりました。

先生の病院勤務では腎臓内科のご経験が長かったようですね。

診療科の進路を決めかねていた研修医時代に指導いただいた腎臓内科の先生の影響が大きいです。腎臓内科の領域は疾患の種類が多く、症状や治療方法も一様ではありません。また、腎機能障害に伴うさまざまな合併症も出現しますから、他の領域の疾患にも診断をつけたうえで適切な医療に導かなければなりません。横浜市立大学附属市民医療センターにはそうした総合診療的な医療をキチンと提供している先輩医師が多く、学びの環境に恵まれたと思っています。患者さんがご自身の不調に腎臓疾患を自覚して受診されることはまずありません。それだけに予断を持たず全人的な視点からアプローチしなければならない診療科といえます。

先生が子どものころ罹患したバセドウ病も、何かしら影響しているのでしょうか。

バセドウ病を発症したのは高校3年生のときです。子どもの頃から体調を悪くしたときはまず循環器科医だった父に診てもらっていましたが、父がそのときの私の症状に特定の診断をつけることはありませんでした。息切れに始まり、眼球突出や手の震え、集中力の低下、発汗などの症状が1年も続きましたが、結局バセドウ病を疑ってくれたのは高校で生物学を習っていた妹で、たまたま教科書に載っていた症状に一致したのです。これが、特定の臓器や診療領域に特化した専門医制度の弊害かもしれません。初期症状の受診で適正な診断が下されることなく悪化させてしまっている方が多くいるのではないか。それも腎臓内科に進んだ動機づけの一つかもしれません。

急性期医療の最前線で活躍されていた先生が、一転、開業へと意識を切り替えたきっかけは何でしょうか。

医局時代も含め開業を考えたことはまったくありませんでした。開業医の父の生活を見ていても、毎日単調で孤独、それでいて資金面や職員の生活など経営に責任を持たなければなりませんから、開業という発想は私にはありませんでした。

ところが病院で勤務していると、仕事の8割は病棟患者さんのケアで、外来のウエイトは2割程度しかありません。しかも、患者さんはどんどん高齢化していますから、誤嚥性肺炎で入院された高齢者にPEGを造設して退院先を探す仕事が増えてきました。もちろん、寛解は困難でも高齢者がなるべく穏やかに長く生きられる入院医療にやりがいはありましたが、それは私が本来やりたかった仕事ではありませんでした。特に将来性豊かな現役世代が疾患に気づかなかったり、健診などで高血圧や糖尿病を指摘されても多忙を理由に受診せずに放置したままでいる状態をより良い方向へ指導できるのが総合内科医による外来だと考えます。医療機能分化が進むなかで理想とする外来を続けていくには開業しかないと決意しました。

当社、日本医業総研とは、クリニックのホームページを作成されたメディキャストさんの紹介でしたね。

開業を考えてメディキャストさんの河村伸哉氏が上梓された本を読んだのがきっかけで、河村氏講演のセミナーにも参加しました。その際に同社の永田航己氏から日本医業総研を紹介いただきました。実はそれ以前に2社のコンサルタントと面談していたのですが、最初の担当者は、「先生なら、開業は郊外でしょう」と決めてかかり、そもそもヒアリングという概念が感じられませんでした。もう1社の担当者もいかにも経験不足が見て取れました。日本医業総研では、植村智之氏と加藤義光氏に担当いただきました。先日の開業後アンケートにも書きましたが、私の苦手な書類仕事等は正確で、事前の準備、事後の確認連絡等とても良くフォローいただいたと思います。

立地・物件選定では特に都心部にこだわったわけではありませんが、住宅地とオフィスが混在するエリアで幅広い患者さんに対応したいと考え日本橋周辺を候補に考えていましたが、日本医業総研が人形町からマーケティングを開始し、2件目でこの物件を紹介いただきました。イメージした通りの開業ロケーションを得ることができました。

開業後に実践されている診療スタイルをお聞かせください。

受付を済まされた患者さんは、待ち時間からすでに診療がスタートしていると考えます。診察室からマイクを通して患者さんを呼ぶクリニックもありますが、私は患者さんの待合室での過ごし方、椅子から立ち上がる様子、診察室までの歩行状態などを直接目視できるように自ら足を運ぶようにしています。患者さんの些細な行動から推測される情報も決して少なくないのです。また、電子カルテの操作中も患者さんから目を離さず、訴えに笑顔でじっくりと傾聴するようにしています。患者さんは、聞き慣れない病名を言われても理解が難しい、あるいは聞き流してしまうこと多いので、診断結果はその場で手書きメモを渡したり、インターネットに有用な情報が載っていればプリントして差し上げるようにしています。保険点数のつかないサービスですが、これが私のスタイルです。また、医師には言いにくく看護師や受付に相談される方も多いので、院内での報告を密にするコミュニケーションにも心がけています。

現在の来院患者層はいかがでしょうか。

高齢者は少なく患者さんは40~60歳代が中心で、20歳代も10%以上を占めています。働く方だけでなく、子育て中のママも少なくありません。ほぼ想定通りの患者層ですが、昼休みの利用に配慮して午前診療を13時までとしたことも奏功していると思います。来院動機はまだ集計できていませんが、開院当初はポスティングチラシ、そこから家族・友人の紹介。物件が交差点角地の1Fで視認性に優れることから通りがかりの方もいらっしゃいます。最近はホームページを見ての来院が増えているように感じられます。

ホームページの疾患コンテンツが広域を網羅しながらも、とても分かりやすく表現されていますね。

日常生活で自覚症状が少なく見落としがちな疾患の説明に心がけて制作しています。たとえば、原発性アルデステロン症などに代表される二次性高血圧症は全体の1割程度しか診断されずにいるとされています。つまり医師でも見抜けないわけです。そうした表面的な検査数値だけで判断できないリスクを正しく伝えていきたいと思っていますし、実際に健診で高血圧を指摘され当院のホームページを見て来院される方もいらっしゃいます。

開業からまだ1カ月ですが、先生なりの手応えのようなものは感じられますか。

1日の患者数は20人前後でまだ損益分岐点には至りませんが、事業計画の予測推移は上回っています。最近何よりも嬉しかったのは、クリニックのホームページを見た近所の企業様から社員の健康管理を当院にお願いしたいという電話での申し入れがありました。2日後、その会社の社長さんと担当の方が来院して下さいましたので、医師会の産業医活動を紹介したのですが、高血圧症の社員も複数いるということから当院に健康診断のプランニングと定期的な健康教室の開催を依頼されました。そういう地域での小さな活動が受診の動機づけになることも、病院ではできないクリニックの使命だろうと思っています。

内科総合クリニック人形町
院長 藤田英理 先生

院長プロフィール

1993年 東京大学医学部保健学科 卒業
2004年 横浜市立大学医学部 卒業
2004年 横浜市立市民医療センター 初期臨床研修
2006年 東京大学医学部附属病院、公立昭和病院
虎の門病院 腎臓内科後期臨床研修
稲城市立病院、JCHO東京高輪病院 等
2019年 総合内科クリニック人形町 開設

Clinic Data

内科総合クリニック人形町

内科 高血圧内科 糖尿病内科 循環器内科 脂質代謝内科

東京都中央区日本橋人形町1-6-10 ユニコム人形町ビル1F

TEL: 03-5843-6714

https://ningyocho-cl.com/

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