神経ブロックを武器にしたクオリティの高い「ペイン単科」にこだわり、一切の妥協を排した開業で「痛み」の潜在ニーズを掘り起こす

𠮷田史彦 先生 インタビュー

大宮ペインクリニック
院長

今回、弊社で開業を支援させていただくことになったきっかけは、弊社ホームページをご覧いただいてのお問合せでしたね。

前職は「きし整形外科内科」でペインクリニックを担当していましたが、神経ブロックを望まれるような患者さんは全体の1割以下でした。整形外科をメインに集患するとそれが普通なのかも知れませんが、私が目指した開業スタイルは、他の診療科を併設しない「ペイン単科」での勝負でした。そこで、複数の開業コンサルタントと面談をしてきたのですが、ペインの経験や知識に乏しいのか、どの提案にも納得できませんでした。

そこで、一旦開業計画を白紙に戻して勤務をしてきましたが、ペインクリニックの開業実績をネット検索するなかで、直感的に響いたのが日本医業総研でした。それと、診療科は異なりますが、大学の同級生も医業総研の支援で開業していることに身近な安心感がありました。それはもちろん偶然なのですが、今となっては何かに導かれたご縁だったのでしょうね。まず話だけでも聞いてもらおうとコンタクトしました。

先生が専門研修プログラムで麻酔科を選ばれた理由は何でしょうか。

日本大学では麻酔科が一番仕事をさせてくれる印象がありました。実際のところは、麻酔科医が少なくて、若い医師も戦力にせざるを得ない事情があったのかも知れませんけど(笑)。他の診療科だと、研修を終えたばかりの若手が自分の意志で物事を決めて取り組むことは難しいのですが、麻酔科では年齢に関係なく一人で手術の麻酔管理を任されるのが基本です。麻酔科医の役割をオーケストラの指揮者に例えることがありますが、周術期を通したインシデント管理など麻酔科医が主導して術者と患者さんを支えることにやりがいが感じられました。

𠮷田先生がペインクリニックの分野に係わることになったきっかけは何でしょうか。

元々、日本大学はペインクリニック外来に積極的で、神経ブロックに関する基礎研究や臨床技術も先達から伝承されてきたこともあって、麻酔科医はある時期から外来も兼務することになります。

当時の私はTEEを応用した心臓手術が好きで、外来にはあまり興味を持てなかったのですが、自分が直接患者さんと向き合うようになって手術とは違った診療への面白さに気づきました。自らの診察で所見を見立てて治療方針を定め治療を開始する。その結果痛みが大幅に改善され、患者さんが笑顔を取り戻される。そのストレートに表れる成果と反応が新鮮でしたし、担当医としての責任の重さも実感しました。

手術場での術者の成功をサポートするチーム医療の一端を担うことが麻酔科医の役割ならば、外来で100%患者さんに視座した医療を提供することも麻酔科のプロの仕事です。そこからですね、ペインの分野で技術を磨きたいと思ったのは。

直前まで勤務されていた「きし整形外科内科」ですが、大学病院からクリニックへの転職は開業を意識されてのことですか。

大学では基本的に手術が優先されますから、私が外来を担当できるのは週1日だけでした。きし整形外科内科への転職は、もっと多くの患者さんを診たい、さらに奥深くペインの技術を研鑽したいという思いからです。一方、院長が自ら苦労して開業し、経営を伸ばしたクリニックだけに、技術と同時に運営の仕方やビジネスとしての医療も学ぶことができました。そうなると今度は、自分の思うような医療を実現したい、いや、できるのではないかという思いが強くなっていきました。

前職は整形外科との併科だったわけですが、ペインクリニックは整形を補完するような位置づけだったのでしょうか。

高齢者に多い脊椎管狭窄症など神経が関わる痛みに対して整形外科での治療には限界があります。神経障害性疼痛の薬もありますが、今のところ切れ味はあまり期待できず、効果の実感も服薬を止めてみてようやく分かるといった程度でしょう。そのまま重症化すると手術ということになりますし、患者さんによってはエビデンスに乏しい代替医療や民間療法に高額を投じようとする方もいます。ペインクリニックが救えるのはそうした「痛みの難民」です。クリニック勤務では、ペインの位置づけと確実なニーズを実感しました。逆にいえば、捻挫など一定期間で自然治癒するような症状は、私が扱うべき患者さんではないと考えますから、整形外科とは連携という意味での補完関係にありながらも、担う役割は明確に異なります。

クリニックの開業では何を強みに打ち出そうとされましたか。

患者さんにとっては、ご自身の痛みに薬物療法やリハビリ、温熱、寒冷、電気治療などの物理療法もやってきた、その状態から望みをかけて受診されるのがペインクリニックです。そこでの当院の強みは、私がこれまで積み上げてきた神経ブロックの技術です。それともう一点は、診療のクオリティです。私自身が納得のできないことはやりたくないし、求めるクオリティに1㎜たりとも妥協の余地を残したくありません。それを遂行する前提となるのが、私と患者さんとの友好関係・信頼関係です。実際、患者さんは痛みに苦しんでいるのです。その痛みの度合いを理解してあげなければ治療は前に進みません。医師が辛さを分かってあげただけで泣き出す患者さんもいらっしゃるのです。初診に20分以上を費やすのは当然のことで、そこでの濃密な時間の共有が信頼関係の礎となります。治療は医師と患者さんの二人三脚での共同作業です。患者さんが納得できない治療を施すのは逆効果にもなりかねませんから、情報の非対称性があってはなりません。治療に対する理解を十分に深めたうえで同意書にサインをいただき治療を開始していますが、同意書には、あくまで患者さんの意志や利益を守るための文章が記されています。医療を選ぶのは患者さんなんですから。

導入した医療機器の充実が目を引きますね。

治療で最優先すべきは、何よりも医療安全です。現在のような医療機器がなかった時代は、医師の経験則に基づく神経ブロックを実施してきました。特にクレームを受けたことはありませんが、やや手探りの部分もあって、どこまで注射が有効だったのかは不確かではありました。神経ブロックで大切なのは穿刺する周辺の組織を可視化し正確に把握することです。私の場合は、Cアーム型X線透視装置と超音波画像装置を導入し透視下で針先の位置を確認しながら的確な神経ブロックを行っています。高周波熱凝固装置も導入しましたが、三叉神経痛などに苦しむ患者さんや、神経ブロックの効果が持続しない患者さんに対しては、治療を高周波熱凝固に引き上げたり、パルス高周波法で間欠的に刺激を与えることも痛みの軽減に有効です。これらはクリニックでは導入例が少なく価格も高額になりますが、治療の確実性と安全性を確保する目的で当初事業計画から導入にこだわったものです。

ペインクリニックでの治療のアウトカムはどうあるべきだとお考えですか。

患者さんのなかには、痛みの辛さや不安から抑うつを合併し、心因性疼痛からさらに痛みを増幅させてしまう方も少なくありません。重度の痛みを完全になくすのは困難ですが、患者さんが納得のできる痛みのレベルにコントロールできるのがペインクリニックです。治療の成果は「ゼロか1」ではありません。目標とするアウトカムは、日常生活の支障を少なくする、普通にやってきたことを不安なくやれる、ご家族など周囲の方々も実感できるといった患者さんご自身のQOLを回復させることにあると思っています。

開業からまだ1週間で経営的な評価には至りませんが、先生の感じる手応えという点ではいかがでしょうか。

事業計画上で医業総研の小畑さんから示された損益分岐点は、神経ブロックの比率をやや抑えた想定で1日30人程度の患者数です。現在の数はまだ約半分ですが、手応えには確かなものを感じています。神経ブロックでは複数回の通院で経過観察しながら次の治療方針を決めていきますから、自ずと再診患者さんの予約が埋まっていくことになります。診療のクオリティを落としたくありませんから、今後の数値動向を見ながら初診の予約枠をコントロールする必要が出てくる可能性もあります。小畑さんからは損益分岐点に達した後に、新患比率10~20%での安定的な成長と運営が求められていますから、今後も引き続き相談に乗っていただこうと思っています。

今回は弊社の小畑が開業サポートを担当させていただいたわけですが、コンサル内容について𠮷田先生の率直な評価をお聞かせください。

完璧です!(笑)。小畑さんのサポートがなければこのクリニックは開業できていません。私が何をやりたいのか、そのために何が必要なのかに耳を傾け、丁寧にビジネススキームを構築してくれました。そこには一切の妥協がありませんでした。たとえば、神経ブロックで思うような集患ができない場合のリスクヘッジとして、物理療法も必要かなと悩んでいましたが、小畑さんは「先生がやりたくないことは、やる必要ありません!」と一蹴されました。高額な医療機器の導入でも、「利益が出てから検討しましょう」ではなく、「先生が必要なら最初から入れましょう!」の一言で条件を変更し、即座に事業計画を組み立て直しました。小畑さんが真剣勝負してくるから、私も妥協を排除して、迷うことなく開業の方向性を定めることができました。小畑さんの言葉が、開業プロセスにおける意思決定を強固にし、協力業者さんもその渦に巻き込まれるように対応してくれました。

医業総研は有料コンサルですが、理想的な開業ができた今となっては微々たる金額だと感じます。かつての同僚など、これから開業を考える先生方には自信をもって医業総研を紹介したいと思っています。

内覧会も盛況だったようですね。

内覧会には200人程の方にお越しいただきました。この数は小畑さんがペインの専門性を重視してかなり広域に告知した成果だと思っています。患者層が限定される単科クリニックですから、私は正直10人も来るかなと心配していたのですが、200人もの方々に接し、それだけ「痛み」を相談できる身近な医療機関が求められているのだということを実感できました。その場での診療予約も数多くいただき、良好な立ち上がりを迎えることができています。もっとも、小畑さんは内覧会にはかなり自信があったらしく、粗品のマグネットを100個余らせてしまったことを悔しがっていましたが(笑)。

 

大宮ペインクリニック
院長 𠮷田史彦 先生

院長プロフィール

日本麻酔科学会 専門医

2007年 日本大学医学部 卒業
2007年 日本大学医学部附属板橋病院初期臨床研修医
2009年 日本大学医学部専修医(麻酔科学系麻酔科学分野)
2011年 済生会川口総合病院 循環器内科
2011年 日本大学医学部専修医(麻酔科学系麻酔科学分野)
2012年 日本大学医学部助手(麻酔科学系麻酔科学分野)
2013年 日本大学医学部附属板橋病院 麻酔科外来医長
2016年 きし整形外科内科
2019年 大宮ペインクリニック開設

Clinic Data

大宮ペインクリニック

麻酔科

埼玉県さいたま市大宮区桜木町1-180 Coffre 3F

TEL: 048-650-1717

https://omiya-pain.jp/

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