閉院クリニックの地盤を引き継ぎ、地域の高齢者とオフィスワーカーの幅広いニーズを掘り起こす

松岡利明 先生 インタビュー

初台整形外科クリニック
院長

松岡先生のご経歴を見ると、卒業当初はリウマチ外科で学び、後に整形外科に転じられたという理解でいいのでしょうか。

本音では最初から整形外科志望でした。リウマチ科領域はリウマチ膠原病を全身状態評価からアプローチする内科と、関節リウマチに画像診断データ等から手術の選択肢を持つ外科と双方に接点をもちます。私の時代の日本医科大学のリウマチ外科は、第二整形外科のような位置づけで選択に悩みましたが、指導医からの強い勧誘や、医局の雰囲気で決めたようなところがあります。ただ、大学での研修後すぐに関連病院に出て外傷も扱うようになり、関節外科、脊椎外科といった整形外科医のキャリアを積んできました。

開業は早い時期から意識されていたのですか。

チャンスがあれば、というのはありましたが、今は開業さえすれば成功する時代ではないことも認識していました。医局の先輩や同級生にも開業医がいるのですが、一様に「結構大変だよ」と……。それでもアンテナを張り巡らし、情報収集に努めてきたのですが、地域の医療ニーズの有無や事業採算性などは私には判断がつきません。そこは、日本医業総研の植村さんの力を借りて、マーケティングや事業シミュレーション、粘り強い交渉を重ねながらの二人三脚の歩みでした。

今回の初台での開業はどのような経緯で決定されたのですか。

開業場所については、特にこだわりはありませんでした。身内からの紹介案件などもあって、その都度多角的な視点から検討してきましたが、採算面の懸念から意思決定には至りませんでした。私が行田総合病院に勤務していた関係で、行田市内の建て貸し物件も俎上に載ったのですが、高額な初期投資への躊躇がありました。そこから都市部での開業も同時に検討していくことになりました。

開業は慎重に、早まって無理をしたくないという考えから、ベストな条件が揃うまでは、勤務医を続けようとしていたとき、10年ほど前に勤務したことのある整形外科クリニックの院長から連絡をいただきました。院長の話は、ご自身が高齢なこともあって引退を考えているというものでした。できたら私に承継をという含みもあったように思いますが、どうやら現在通院中の患者さんのことが気がかりなご様子でした。そのクリニックが初台にあったのですが、外観、内装ともに老朽化が目立ちました。

院長との話し合いには植村さんも立ち会い、先入観を排して様々なパターンをシミュレーションした結果、承継の選択肢は捨て、閉院するクリニック近隣での新規開業となりました。

開業では院長から患者さんへの閉院の挨拶とともに、代わって当院が開設される旨をご案内いただくようご協力をいただきました。実際にどこまで既存患者さんに来院いただけるかは未知数です。それでも、医療地盤を引き継ぐ新規開業という意味で精神的なプレッシャーは随分と軽減されました。

開業物件は閉院したクリニックから至近で、都市と住宅地をまたぐ、東京都道431号線、通称水道道路に面したテナントビルの1階です。前面がバス通りで乗客からの視認性に優れていることもあってか、思いのほか広域からの集患ができています。

医療提供上の強みや特徴をお聞かせください。

専門性という意味で私が得意とする領域は、関節と背骨です。また、スポーツ整形にも力を入れ、医療の守備範囲を広げたいと考えます。初台には高齢者が多く居住していますが、新宿から京王新線で一駅、東京オペラシティのほか、NTT東日本、カシオ、ロッテ本社などの都心の顔を合わせもち、昼間はオフィスワーカーで賑わいます。スポーツ整形といっても、プロのアスリートを対象としたものではなく、比較的若い層のスポーツによる怪我の治療を意識したものです。

かつて、医局の先輩から、患者さんの痛むところを触ってあげるよう指導を受けてきました。患者さんに触れない整形外科医はあり得ないというわけです。手のぬくもりを感じていただき、患者さんと同じ目線で痛みに向き合うこと。これは、専門性に関係なく私の医療提供の礎として守っていきたいと思っています。

運動器リハビリテーションにも力を入れてられますね。

当院で大切にしたいのは、適切な治療を行った後のQOLの早期回復、さらに怪我のしにくい身体づくりです。高齢者の慢性疾患の寛解は困難ですが、悪化を防ぐ丁寧で継続的なケアはクリニックに特に望まれる重要な機能の一つですから、開業にあたり運動器リハは不可欠だと考えました。リハ機能をより有効に稼働させるには、PTとの密な連携が必要ですが、幸い指導者も含め優秀なPTを採用することができました。開業から2カ月足らずですが、すでに毎日40人前後のリハの予約を受け付けていて、早急にPTの増員を図らなければならない状況です。

ショックマスターを導入された狙いは何でしょうか。

かかとの腱組織の炎症などから足底腱膜炎を引き起こす方はとても多いのですが、保存的治療法では難治とされ、通常の鎮痛治療やストレッチなどではなかなか効果が出せません。ショックマスターは、拡散型圧力波治療器の一つで、衝撃波で患部組織を一度壊し再生させることで疼痛をコントロールするものです。本来、機器の減価償却を考えればしかるべき料金を設定しなくてはなりませんが、当院では消炎鎮痛処置としてでしか算定していません。患者さんの症状が低侵襲の治療で軽快してくれれば良しと割り切り、病院に行かずとも難治の症状に対応できることが地域に広まり、受診のハードルを下げることができれば、長期的にはメリットになると考えての判断です。

病院の外来とは違う、クリニックならではの患者さんとのコミュニケーションという面で心がけていらっしゃることは。

患者さんの訴えから決して逃げない、というのが私の昔からのポリシーです。整形外科を専門としていても、患者さんからの相談には真剣に耳を傾けるのが開業医の使命だと思っています。もちろん、かつてリウマチ科で学んだ内科の視点も活きていると思いますが、専門外だからと端から拒否し、他院を紹介することはありません。相談しやすい雰囲気作りには心がけていますが、医師として地域から何かと頼りにされるのが、かかりつけ医としてのモチベーションにつながると思います。

開業の順調な立ち上がりを、先生ご自身はどのように感じていらっしゃいますか。

現在の患者数は、1日80~100人程度。周知というにはまだ日が浅いので、患者さんはもっと増えるでしょう。患者さんの満足度はその表情から読み取れますが、それは提供する医療だけでなく、受付事務も含めたスタッフの明るさ、適切な対応の表れだと感じています。専門職、事務職ともにスタッフに恵まれたことに本当に感謝していますし、チーム一体となったサービス向上への取り組みで開業は経営であることを実感しています。

初台整形外科クリニック
松岡利明 先生

院長プロフィール

医学博士
日本整形外科学会専門医
日本リウマチ科学会指導医
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医

1998年 日本医科大学 卒業
日本医科大学附属病院リウマチ外科、救命救急センター、麻酔科
都立墨東病院リウマチ科
おざき整形外科笹塚診療所
教職員相互会三楽病院整形外科
東京都リハビリテーション病院整形外科
行田総合病院整形外科
2018年 初台整形外科クリニック 開設

Clinic Data

初台整形外科クリニック

整形外科、リハビリテーション科、リウマチ科

東京都渋谷区本町2-6-3 ユニゾ初台1F

TEL: 03-5371-5522

https://hatsudai-seikei.jp

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