「整形外科」と「乳腺外科」。良好な立ち上がりは、2科目の専門性の高さを両立させる立地選定とスタッフの協調性

渡辺享永 渡辺理恵 先生 インタビュー

わたなべクリニック 整形外科・乳腺外科
院長 副院長

先生をはじめ、若々しい明るさが感じられるクリニックですが、渡辺先生が開業を意識されたのはいつごろからでしょうか。

(渡辺享永院長)会社を経営していた父の影響もあったのかもしれませんが、医学部の学生時代から開業医を目標に学んできました。臨床研修を終えて整形外科に進んだのも、自分自身の適性と将来の開業を視野に置いての判断です。

先生が担当する整形外科と、副院長の奥様が担当する乳腺外科という、明確な専門領域をもつ診療科の組み合わせですが、奥様と相談されての一緒の開業となったわけですか。

夫婦で同じクリニックを経営するという前提ではありませんでしたが、病院で乳腺外科の副医長だった妻も私と一緒なら開業してみたいということで話が進みました。2つの診療科は一般のクリニックによくあるようなメインとサブという位置づけではなく、提供する医療が違う以上、両診療科がそれぞれ単独で経営が成り立つというのが開業における絶対条件になりました。

開業コンサル会社について、勤務医時代からの広いお付き合いもあったかと思いますが、日本医業総研を選ばれた理由は何だったのでしょうか。

日本医業総研は、父の会社と取引のある金融機関からの紹介でした。実は他のコンサル会社の紹介で、別の場所での開業が決まりかけていたのですが、本当にそこで大丈夫なのかを相談したのが日本医業総研の山下さんでした。複数の関係者に物件を見ていただいてきて、皆さん異口同音に「先生なら大丈夫ですよ」と言うんですね。ところが、山下さんだけは診療圏調査のデータを示してダメ出しをしてくれました。私自身、開業についての予備知識もなく、実際のところ手探りだったわけですが、山下さんからのアドバイスには裏付けがしっかりと示されているし、業績も事前に示されたデータを裏付ける形で進んでいます。父とも相談しての決定でしたが、日本医業総研のコンサルを受けたのは正解だったと思っています。

結局、立地選定も振り出しに戻ったということですね。

そうです。まず整形外科・乳腺外科、それぞれに十分な潜在患者数が見込まれること。そのうえで、患者層や提供する医療が異なりますから、それぞれの診療科が明確なコンセプトを打ち出し、それが実現できる立地や建物にこだわりました。整形外科は駐車場が確保できればある程度郊外でも成り立ちますが、乳腺外科は受診しやすいイメージ戦略も大事ですし、患者さんにとっては他者にあまり知られたくないというデリケートな心理もあります。さらに広域からの集患を考え、山下さんから紹介いただいた蒲生四丁目駅近で商店街の入り口に位置する新築テナントビルに着目しました。両診療科のフロアを2F(整形外科)、3F(乳腺外科、リハビリ)に分け、乳腺外科は医師(副院長)、スタッフとも全員女性で構成しました。テナント賃料は決して安くはありませんでしたが、実現したい診療コンセプトは妥協することなく貫こうと考えました。

整形外科はどこでも競合の多い診療科ですが、医療提供上の強みとされているのは何でしょうか。

痛み、痺れ、関節疾患、脊椎疾患などといった一般整形外科全般を診るのは当たり前として、当院の強みは骨粗鬆症治療と理学療法を2本柱に置いています。骨粗鬆症の検査では、腰椎と大腿骨頚部を直接測定するDEXA法を採用しました。残念ながら骨粗鬆症は完治が困難です。それだけに、精微な診断の下での丁寧な説明にこころがけ、症状の進行を防ぎ、転倒や骨折リスクなどを最小化する治療の選択が重要になります。

もう1本の柱である理学療法ですが、整形外科の治療目的は患者さんが日常のQOL、ADLを取り戻すことにあるというのが私の基本ポリシーです。疼痛性疾患での受診であれば、触診や画像などから痛みの原因を確定し、神経ブロックや最新の対外衝撃波治療、薬物療法などを用いて除痛します。しかし大切なことは除痛後の医学的なサポートで運動機能を回復させることです。さらに、病院での手術後患者さんのしっかりとした受け皿も地域には必要です。そのために大事なのが運動器リハ施設の充実であり、現場で患者さんに寄り添う理学療法士のスキルということになります。理学療法士の一人は開業前から声をかけていた方で、もう一人は公募ですが本当に優秀なスタッフを採用することができました。運動器リハの施設基準は(Ⅱ)のスタートですが、通院患者さんは積みあがる一方ですので、時機を見て理学療法士を増員し、施設基準も(Ⅰ)に高次化したいと考えています。

乳腺外科の方はいかがでしょうか。

副院長の目指すところは乳がん患者さんを減らすこと、その一点に尽きます。ですからクリニックの機能としては、乳がんの早期発見と早期医療介入に向けた検査のハードルをいかに下げるか、受診しやすい環境を整えるかということになります。先ほどの、すべて女性スタッフが対応することもその一つです。整形外科もそうですが、当院では不要な検査はせず、必要なことをしっかりと実施することに心がけています。ですから妻もマンモグラフィやエコーでの画像診断、針生検、手術が必要と考えられる場合は適切な病院を紹介し、再発予防のホルモン療法や抗がん剤治療も行っています。私から見ても、本当に患者さんのために尽くしていると思います。

開業してわかったのですが、整形外科と乳腺外科にまるで接点がないわけではありません。アロマターゼ阻害薬を使用したホルモン療法が骨代謝に影響することで骨粗鬆症のリスクが生じますし、乳がんの術後に患者さんの肩が上がりにくくなることがあります。そこは整形外科でカバーするよう連携しています。

3回目の緊急事態宣言最中での開業でしたが、内覧会は盛況だったようですね。

時期的にどうかというのはありましたが、内覧会は山下さんから専門の運営業者をご紹介いただいたことと、やはり立地の優位性でしょうね。

特に乳腺外科で乳がん検診のご案内をしたところ、多くの予約をいただくことができました。開業後の2~3週間は、整形外科の方は比較的ゆっくりとしたペースの集患でしたが、乳腺の方が検査予約で埋まり、不安な立ち上がりを助けてくれました。すでに大阪市乳がん検診事業取扱医療機関にも認定されています。

骨粗鬆症患者さんで、治療の途中離脱を防ぎ、持続・継続させるために、どのような助言をされていますか。

患者さんが、「先生、治療はいつまで……?」と言われると、「これから一生ですよ」と、そこは一言目にしっかりと申し上げるようにしています。高血糖や高血圧の方はかかりつけの内科に通院し続けるでしょ、と。骨密度の問題を放置して悪化した結果、どのような合併症を引き起こすのかというリスクを丁寧に説明して、治療の必要性を理解いただくようにしています。もちろん、治療選択の意思決定は患者さんにあるわけですが、でき得る限りの説得はしているつもりです。

整形外科を標榜すると、リウマチ患者さんからも相談を受けますよね。

リウマチ医の認定はいただいていますが、私自身はそんなに得意というわけではないし、患者さんにも正直にそう伝えています。かつて不治の病とされ対症療法しかできなかったリウマチも、新たな治療法の開発で一変しました。リウマチの専門医がキチンと診て、最新の治療法でアプローチすれば治る病です。中途半端に検査して、中途半端な薬を処方するのは私のポリシーに反します。初診は受け付けますし、必要に応じて検査もいたしますが、リウマチが疑われる場合は専門医を紹介して治療を受けていただくようにしています。

ここからは乳腺外科を担当している副院長に話をうかがいたいと思います。女性の乳がん罹患者は依然として増加傾向が続いているんですよね。

(渡辺理恵副院長)罹患数は約92,000人。日本女性の9人に1人の割合で罹患していることになります。Ⅱ期までの進行度でしたら局所治療による乳房温存療法ができ、治療の目安である10年生存率が8割以上というデータがありますから、やはり早期発見、早期治療が基本です。

公費負担でも受けられる機会のある乳がん検診ですが、いまだにマンモグラフィに対する拒否感というか、受診のハードルが高いのでしょうか。

「検査は痛いんですか?」と恐怖心を持たれる方は結構いて、10年、20年前のマイナスイメージから抜き切れていないようです。現在のマンモグラフィは改良されていて、苦痛も随分軽減されていることを説明するようにはしています。
乳がん検診の啓蒙という意味で、内覧会は直接お会いしてお話できるいい機会でしたし、実際に開業から1~2カ月先の検査予約もいただきました。今後、ホームページを充実させることのほか、少し時間的な余裕ができたら、ピンクリボン月間ではありませんが、院内セミナーなどを開催できたらいいかなと思っています。

当院で検査をされて、実際に乳がんが疑われるケースはどのくらいでしょうか。

子育てとの両立から、私が診察に入れるのは週3日程度、午前診に限定されますが、それでも月に1例か2例のがんを発見します。つい最近も、局所進行乳がんの方がいて、ご本人も当然自覚されているのに、それでも診断されるのが怖いんです。いきなり大きな病院に行くのには抵抗があり、それで悩みながらも当院を選ばれたようです。自覚のない方は、さらに多くいらっしゃるわけです。そういう方が医療にかかる際に、当院が最初に踏むステップになれるのかなと感じています。

院長、副院長それぞれに実現したい医療があると思いますが、そのためにスタッフに期待するところは何でしょうか。

一番大事なのは協調性。くわえて、やる気と責任感ということでしょうか。そこは、看護師、放射線技師、理学療法士が皆意識が高く、それぞれの持ち場をしっかりと守ってくれている印象です。「ここは全部私たちに任せてください」という言葉に心強さを感じています。

より良いチームワークを醸成し、スタッフ皆さんの高いモチベーションを維持するために行っていることはありますか。

開業当初は、MRさんなどが入ってくれて、週1回程度整形外科系の勉強会を開いてきました。ただ、骨粗鬆症など皆に知ってほしい内容ですので、参加者が常勤スタッフに偏ってしまわないよう開催時間に配慮して、パートさんにも参加を促しています。9月に入ってからやっと乳腺の勉強会が始まって、これも取引業者さんの協力をいただき質疑応答も含めた有意義なディスカッションをすることができています。これからは外部の方に頼ることなく、自分たちで企画して勉強会を続けていきたいと考えています。

今回の日本医業総研の開業サポートについて、副院長からご覧になって、どのように感じられましたか。

私は直接かかわることは少なく隣で見ている感じでしたが、院長は山下さんにすごく感謝していますよ。もう何かあれば、「山下さん……」で。多分コンサル契約の内容を逸脱していて、相談される山下さんも困っているのでは……と(笑)。すごいなと思いながら、いまでも山下さんを頼りにしています。

 

わたなべクリニック 整形外科・乳腺外科
院長 渡辺享永 先生
副院長 渡辺理恵 先生

院長プロフィール

日本整形外科学会 専門医
日本整形外科学会認定 リウマチ医
日本整形外科学会認定 リハビリ医
日本整形外科学会認定 スポーツ医
難病指定医
臨床研修指導医

2011年 愛知医科大学医学部 卒業
愛知医科大学病院 研修医
2013年 石切生喜病院 医員
2014年 島田病院 医員
2016年 大阪市立大学附属病院整形外科 専修医
2017年 府中病院 整形外科 医長
2021年 わたなべクリニック 整形外科・乳腺外科 開設

副院長プロフィール

医学博士
検診マンモグラフィ読影認定医(AS評価)
日本外科学会 外科専門医
日本乳癌学会 乳腺認定医
日本乳癌学会 乳腺専門医
乳房再建用エキスパンダー/インプラント責任医師
日本遺伝性腫瘍学会 遺伝性腫瘍専門医

2010年 愛知医科大学医学部卒業
2011年 愛知医科大学病院 研修医
2014年 愛知医科大学病院 乳腺・内分泌外科 助教
2016年 淀川キリスト教病院 乳腺外科 医員
2017年 淀川キリスト教病院 乳腺外科 副医長
2021年 わたなべクリニック 整形外科・乳腺外科 副院長

Clinic Data

わたなべクリニック 整形外科・乳腺外科

整形外科 リハビリテーション科 リウマチ科 乳腺外科

大阪府大阪市城東区今福西1-9-3 メディカルアベニュー城東2F/3F

TEL: 06-6932-6555

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