乳児から始める子どものケアと、専門性の高い成長・発達のフォロー。子育て支援にも取り組み、コロナ禍での小児科の開業にありながら順調に立ち上がる。

佐野博之 先生 インタビュー

さの赤ちゃんこどもクリニック
院長

待合室の窓一面から外光が注いで、明るくいい雰囲気の内装ですね。

医療機関で居心地がいいというのも変ですが、子どもの緊張を和らげるよう心がけました。発熱などの症状がある病児と一般の外来を分けるための隔離室を3部屋用意しましたが、それぞれに子どもに向けた可愛らしい設えが施されています。

まず、先生が医学部に進み、小児科医療を選ばれた理由からお聞かせください。

医学部を受験しようと思ったのは高校時代の受験シーズンに入ってからで、小児科に進もうと決めたのは大学6年次でした。私たちのころの臨床研修は旧制度でしたので、卒後すぐに専門の診療科を決めて研修を受けることになるわけですが、外科にはあまり興味がなく、内科にしても特定の臓器に専門特化するのはどうかと思いました。そうしたなかで、小児科の説明会で、子どもの全身を診ながら成長の過程に寄り添えるという話を聞き、新生児医療やNICUにも興味が湧きました

実際に病院ではNICUでの勤務歴が20年以上と長かったわけですが、集中治療の子どもを管理しながら外来もやっていたわけですか。

勤務先ではクリニックで診るような、一般的な風邪の子どもはほとんどいませんでした。とくに大阪母子医療センターなどでは、きわめて専門性の高い医療が提供されていました。人としゃべるのが好きだったので、外来にも対応していましたが、仕事のメインはあくまでもNICUでの集中治療と、そこの子どもたちの成長・発達のフォローでした。

前職では小児科の主任部長と母子センター長の兼任という重責を担われてきた先生が、自院開業へと向かわれたきっかけは何だったのでしょうか。

NICUと小児科の責任者はそれなりにやりがいがあったのですが、管理職として経営にかかわることや後輩の指導に多くの時間を費やし、診療から離れざるを得ない場面が増えました。一方で発達障害のニーズが高いものの、急性期の入院医療を旨とする病院では医師や専門スタッフの数には限りがありますので、クリニックで発達外来が実現できないものかと考えました。後進も十分戦力として力をつけてきましたし、地域の人たちから慕われる町医者への憧れのようなものもあったと思います。それが開業の1年位前のことで、そうと決めたらあとはとんとん拍子に話が進んでいきました。

開業支援は複数のコンサル会社で検討されたと思いますが、その中から弊社、日本医業総研を選ばれた理由は何でしょうか。

開業資金の相談で話をうかがった銀行から最初にコンサルティング会社の話が出て、紹介されたというのが一番でしょうか。ウェブで開業の意向を登録すると、大手卸業者や薬局チェーンなどから次々に物件情報が送られてきました。無料での開業支援の話も聞きましたが、そうなると紹介された物件でしか開業できないし、医療機器の選定なども一定の制約を受けることになります。医業総研の有料コンサルは私にとっては決して安い金額ではありませんが、銀行担当者のお勧めということは、実績も信用も高いのだろうと判断しました。

開業物件の話が出ましたが、候補地として当該谷町六丁目のほかに、堀江の方にも有力な物件があり、担当コンサルの猪川のシミュレーションでは、谷町六丁目の方が初期投資額が高く、立ち上がりも遅いことが予測されました。それでも当該の物件を選ばれた決め手はどこでしょうか。

堀江では2カ所の候補がありました。診療圏調査上の患者数は結構出ていて、私も何度か現地に足を運びましたが、別の業種で使用されており、クリニックの雰囲気に適さないように感じられたほか、商業中心のロケーションのためか少し騒がしそうな雰囲気がやや気になりました。谷町六丁目は整然とした品性の感じられる住宅地で、子どもの数も一定数保たれています。当該建物は地域の生活動線に面した新築ビルで、大型スーパーに隣接しています。賃料などで損益分岐のハードルはやや高くなりますが、そこはイメージを優先しての選択ということです。

クリニック名を一般的な小児科クリニックではなく、「赤ちゃんこども」とされた思いをお聞かせください。

新生児医療は私の専門とする領域です。お母さま方の心配事のなかに子どものアレルギーがあると思いますが、症状の進行を抑えるために有効なのが、乳児期からのスキンケアとされています。疾患だけでなく、子育て不安に対するアドバイスなど小さいころからお伝えしたいことはたくさんあります。子どもは大きくなれば、それだけ病気にもかかりにくくなり受診の機会も減っていきます。6歳未満の子どもの受診は小学校6年生の10倍もいますし、実際当院では3歳未満の子どもが全体の約8割を占めています。小児科医が乳児期から診るというのは、お子さんの発育過程を医師の立場から一緒に見守っていくことでもあるわけです。

小児科医の多くがあまり触れたがらない発達障害について、公認心理師も参加して対応されるということですね。

先ほども申し上げた通り、発達外来をクリニックで実現したいというのが開業理由の大きな柱でした。ただ、保険診療の範囲で検査やカウンセリングやろうとすると経営的に割ける時間が限られ、現状は土曜の午後と平日の30分1枠だけに限定しています。心理士さんも常勤ではなく月に2回、土曜日の午後の枠で来ていただいています。区に相談に行かれたお母さん方からの問い合わせも多く、2~3カ月先まで予約が埋まっている状況ですので、今後は何らかの対応策が必要になってくるかもしれません。

6月(2021年)からはいよいよ子育て支援サークル「moom」も開始されますね。

元々は有志の看護師が自発的に始めようと考えたサークルです。待合室に大型のプロジェクターも用意しましたので、最初の20~30分で私がスキンケアの大切さや発達障害の話をして、そのあとお母さん方からの悩み相談や、お母さん同士のサークル活動、ワークショップ、パパ教室、思春期教室など日常の保険診療から一歩離れたコミュニティ活動を企画しています。

実施している医療機関は少数と思われる、頭の形矯正の評判はいかがですか。

頭の形矯正は、医療機器として承認されている矯正用のヘルメットを用いて、扁平化した部分の頭蓋骨の生育を促す治療で、導入している医療機関が限定されているからか、ネットで当院を見つけて、石川県、広島県、岡山県などからも来られています。矯正には半年から1年位を要し、自費ですから経済的な負担も決して少なくはありませが、子どもの頭の形を気にされている方がそれだけ多いということでしょう。すでに3~4週間先まで予約が埋まっています。

2度目の緊急事態宣言の解除後とはいえ、特に小児科への影響が甚大なコロナ禍での開業でしたが、2日間の内覧会では200人以上が集まり、以後も順調に立ち上がりました。この成功要因を先生はどうとらえていますか。

クリニックのホームページは2カ月ほど前から立ち上げて告知していましたが、そのほかは一般的なポスティングと折込みチラシ程度で、特別な広告はしていません。やはり大通りに面し、住民が日常的に利用されるスーパーの隣で、工事中から看板を出していたことが大きかったと思います。猪川さんの作成したプロットを見ても、競合小児科は500m以上離れています。立ち上がりの2~3カ月は立地の優位性による予防接種や風邪による受診、そこから皮膚のケアや発達外来、子育て支援などのサービスを知り、私の診療スタイルやスタッフの対応が評価されてリピートにつながっているのではと思っています。

最後に、今回クリニック開業を支援させていただいた日本医業総研のサービス内容についてはいかがでしたでしょうか。

他社のサービスとは比較できないという前提ですが、何が分からないのかが分からないという手探り状態のなかで、聞きたいこと、疑問に思うことにすぐに対応いただけました。私自身がせっかちな性格で、何かと自分で動かないと気が収まらない質なのですが、「先生、それはまだ早すぎる」とその都度冷静に判断して、開業準備をコントロールしていただけました。医業総研だからというより、猪川さんの指示だったから素直に従えたという信頼感が大きかったように思います。

さの赤ちゃんこどもクリニック
院長 佐野博之 先生

院長プロフィール

小児科専門医
新生児専門医
地域総合小児医療認定医
子どもの心の相談医
新生児蘇生法(NCPR)インストラクター
診療情報管理士

1997年 大阪大学医学部 卒業
1997年 大阪大学医学部附属病院 小児科
1998年 りんくう総合医療センター 小児科
2000年 大阪大学医学部付属病院 小児科
2001年 大阪母子医療センター 新生児科
2012年 愛染橋病院 小児科 副部長
2013年 淀川キリスト教病院 小児科 主任部長/母子センター長

Clinic Data

さの赤ちゃんこどもクリニック

小児科

大阪市天王寺区清水谷町5-22 H・A BLDG 3F

TEL: 06-6765-8585

https://www.sano-babykids.com

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