泌尿器科空白区の駅近商業エリアでの開業。広域からの集患と、良好な地域連携で早期黒字化を実現

権藤立男 先生


院長

大学卒業後の進路として、少数派の泌尿器科に入局された理由からお聞かせください。

マイナーな診療科を選んだ方が、自分が手術をやらせてもらえるチャンスが多いのではないか、それとマイナー系のなかでも腹部外科をやりたかったというのが泌尿器科を選択した理由です。がん治療にも取り組みたいと思っていましたし、内科と外科が融合したような泌尿器科の特徴が私には合っているように感じられました。担当医が初診の外来から手術、その後の経過観察まで一人で完結させる医療に泌尿器科のやりがいがあります。

先生のご経歴を見ると、2008年から川崎市立井田病院に出張されたわけですが、泌尿器科ではなく消化器外科に入られたのですね。

泌尿器科に入局するときに、機会があれば外科を修練してみたい旨を教授にお願いしていたのですが、その約束を忘れず行かせていただきました。1年間、大腸がん、胃がん、鼠経ヘルニアなど多くの手術を術者として学ばせていただきましたが、外科の作法は泌尿器科とは異なる部分があり、外科手術の基礎をたたきこんでいただきました。泌尿器科も腸を利用する手術があるのですが、やはり「弓矢の道は武士が知る」がごとし分野であり、外科の経験で磨いた手技を医局に持ち帰ることができたのだと思っています。

ロボット手術の指導医でもあるのですね。

2006年に大学にダヴィンチが導入されたタイミングで助手に入り、操作を覚えました。その後、米国での2年間の基礎研究を隔てて大学に戻り、再びダヴィンチを使い始め、前立腺がんや膀胱がんなどの治療に術者として取り組んできました。

大学病院で相当数の業績を積んでこられた権藤先生が、自院開業へと向かわれたきっかけは何でしょうか。

臨床も研究も面白かったので勤務医のままという道もありましたが、大学での高いポストを目指すというヴィジョンは持ち合わせておらず、逆に開業してみたいという気持ちは潜在的にあったように思います。前職では副院長として、経営にも参画してきましたから、開業は方向転換というわけではなく、自分のやりたかった医療を自らが経営者となって実現したかったということです。

当社、日本医業総研は、2016年に開業された池田良一先生(蒲田泌尿器科皮ふ科クリニック院長)からのご紹介でしたね。

そうです。最初に面談させていただいたのは植村智之さんでした。池田先生からの紹介ということで、他のコンサルティング会社とは比較せずにサポートをお願いしました。コンサル料は高かったですが(笑)、コンサルの内容はきめ細かに対応いただき、開業実現につなげていただけました。

開業立地については、東急池上線沿線からリサーチを開始されたわけですね。

池上線は自宅からの通勤の利便性を考えた候補地として、植村さんからも物件を提案されましたが、どうしても開業のイメージが湧きませんでした。中野には泌尿器科がなく、開業立地として有望であることは大学病院時代から耳にしていましたが、担当が代わった小畑吉弘さんから、この医療ビルを紹介されました。同ビル3Fで先に開業された税所芳史先生(さいしょ糖尿病クリニック院長)も日本医業総研のコンサルによるものだとうかがいました。床面積が約27坪と、想定していた広さを確保できませんでしたが、駅至近の商業地域でアクセスが良く、申し分のない立地といえました。

クリニックだと資源や機能上、大学のような高度な医療の提供はできません。そうしたなかで、先生の強みをどう発揮しようとお考えですか。

難しい質問ですが、まず現在病院で行われている泌尿器科の手術の多くは、自分で完遂できるまで習得できたと思っています。この先も同じ手術を続けていくことも一つの道でしたが、一度の人生、自分のクリニックを作り上げ診療してみたいとの思いが強くありました。私の強みや専門性をどう発揮するか以前に、クリニックの役割は困った患者さんの最初のアクセス先であり、ここで治療を完結できないと判断される場合は、適切な医療機関に割り振ることです。幸い、中野周辺エリアであれば、受け入れる医療機関の情報を大体把握できています。

実際に開業されての実感はいかがですか。

想像していたよりずっと疲れる(笑)。患者さんの訴えにじっくり傾聴しようと開業したわけですが、待ち時間のことなどが気になって、常に気持ちが張り詰めているような状態です。予約システムは導入していますが、一旦診療を滞らせてしまったら意味をなしません。検査結果の判断や処置もスピード感が求められます。幸いまだクレームには至りませんが、尿定性機器、尿沈渣機器などの検査機器を導入していなかったらとても回っていかなかったと思います。

先生の検査で悪性腫瘍などが疑われるケースはどう対応されていますか。

開業初月に膀胱がんが疑われるケースが3例ありました。その患者さんは近隣の病院に紹介させていただきました。悪性腫瘍は症例としてそんなに多いというわけではありませんが、病院が病院としての本来の医療を提供することにおいて、当院は一定の役割を果たしていると思いますし、逆に近隣の病院からも安定した患者さんを紹介いただいています。近隣の病院とは、双方が顔の見える良好な病診連携が構築されつつあると感じています。

性感染症の患者さんはいかがでしょうか。

こんなに性感染症患者さんが多いとは予想していませんでした。性感染症治療を宣伝しているわけではありませんが、人通りの多い道に面した、複数の診療科が入居するビルのテナントですから、逆に人目を気にせず受診できるというのはあるのかもしれません。性感染症は基本的に保険診療の範囲でやっていますので、リピート患者さんもいらっしゃいます。性感染症の専門医も取得していますので、最適な検査・治療が提供できる準備はしています。

良質な医療サービスを提供するうえで、スタッフの採用や育成、チームパフォーマンス向上のためにどのような取り組みをされていますか。

人選では、まず言葉遣いの正しい人、丁寧語や謙譲語がキチンと使える人にこだわりました。看護師は泌尿器科での勤務経験はありませんでしたが、実践のなかで働き学んでいただくことで、すでに大事な戦力となっています。チーム全体では、月2回の定期ミーティングのほか、MRの支援を受けての勉強会も行っています。

初月から事業計画の半年後の売上を上回るなど好調な立ち上がりですが、この要因をどう分析されていますか。

やはり競合が少ないというエリア特性だと思っています。経営数値はすでに黒字化していますが、私としてはそんなに驚いてはいません。来院動機を見ると、時代の潮流でしょうがウェブ検索が多いようです。一定の予算を投じているリスティング広告も奏功していると思います。集患のエリアは、中野区全域、杉並区、練馬区からも来られていますが、もっとさまざまな医療が提供できるよう体制を整え、さらに広域から患者さんが来てくれることを目指していきたいと思っています。

今回の日本医業総研の開業サポートについて、忌憚のないご意見をいただけますか。

小畑さんは私の執拗なくらいのメールにも、粘り強く的確に回答してくれました。何よりもこの物件を提案いただき、開業に導いてもらったことを一番に感謝しています。ただし、紹介いただいた各種業者さんについては、改善の余地があるように思われます。とくに内装業者には少なからずストレスを感じました。設計者が泌尿器科に不慣れなのか、私の要望や期待に対して、「それはできない」と決めつけられてしまうと、そこでもう話は進まなくなります。業者を変更し、結果的にベストに近いものに仕上がりましたが、既成概念にとらわれずに考えを深めれば、解は必ず見つかるはずです。業者選びの選択肢を幅広く提案いただけたらよかったと思っています。

院長 権藤立男 先生

院長プロフィール

医学博士
日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医・指導医
日本泌尿器内視鏡学会 泌尿器腹腔鏡技術認定医・泌尿器ロボット支援手術プロクター(ロボット手術指導医)
日本内視鏡外科学会 腹腔鏡技術認定医(泌尿器科領域)
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本ロボット外科学会 RoboDoc認定医(国内A級)
日本化学療法学会 抗菌化学療法認定医
ICDS制度協議会 インフェクションコントロールドクター
日本性感染症学会 性感染症治療認定医
日本抗加齢医学会 抗加齢医学専門医
身体障害者福祉法第15条 指定医(膀胱または直腸機能障害の診断)
日本内分泌代謝学会 認定医専門医
過活動膀胱に対するボツリヌス毒素(ボトックス)施注資格
テストステロン治療認定医
日本医師会 認定産業医
難病指定医(間質性膀胱炎:ハンナ型)

2003年 東京医科大学卒業
東京医科大学 泌尿器科入局
東京医科大学 八王子医療センター
2005年 東京医科大学 泌尿器科 助教
2008年 川崎市立井田病院 消化器外科
2010年 東京都立広尾病院 泌尿器科
2012年 米国メモリアルスロンケタリング癌センター 泌尿器科 客員研究員
2014年 東京医科大学 泌尿器科 専任講師、医局長
2019年 東京国際大堀病院 副院長、泌尿器科診療部長
2022年 中野駅前ごんどう泌尿器科 開設

 

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Consulting reportコンサルティング担当者より

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