郊外の住宅地を背景に、乳幼児から高齢者まで、ファミリードクターとして親子三世代に専門性の高い整形外科診療を提供

𠮷田清志 先生


院長

母校、大阪大学の整形外科と関連中核病院で高度な医療を行ってきた𠮷田先生が、自院開業に向かわれた動機からお聞かせください。

いろいろな要因があるのですが、地域で診るべき患者さんは地域でということですね。大学病院でずっと勤務していると、わざわざ他県から軽症の患者さんが来るなど、地域との望ましい機能分化がなされていません。本来大学病院でやるべき急性期医療がある一方で、地域医療が担わなければならない患者さんがいるわけです。そうした患者さんに接してきて、地域医療の一端を担う決心をしました。

つまり、大学病院とは違う方向性での外来をやっていくということですか。

手術や入院理療を旨とする病院では慢性腰痛の患者さんが来られても、理学所見や画像診断で異常なしと判断されれば、概ね鎮痛剤の処方で終了してしまいます。痛みで困っている患者さんが医療機関に何を求めているのかを考えたとき、通り一遍の治療ではなく、ほかに少しでも何かできることがあるのではないか、そこを親身に考えてあげることにクリニック本来の役割があると思っています。

一般的に高齢患者の傾向が強い整形外科クリニックで、乳幼児から診るファミリードクターとして、先生の強みをどう発揮しようとお考えですか。

医療技術的なことより、まず親子三世代に対応する整形外科クリニック自体が少ないということです。実際、当院ではまず赤ちゃんであったり、お祖母ちゃんが来られ、その時の印象を聞いたご家族が来院されているというイメージです。また、小さなお子さんの場合、親御さんが心配されるのは、症状の重さにくわえ、子どもの将来への影響です。私の勤務医時代経験として、一人の子どもを初診から10年間以上継続的に診療してきたケースなどがありましたので、心配される親御さんに、適正な診断とともに長期的な視野での所感として、将来の影響などを申し上げるようにしています。これが経験値に基づく私の強みの一つだと思っています。開業から約1年が経ちますが、0歳児から100歳近くの高齢者まで満遍なく医療提供ができていると感じています。

開業に際し、目指す医療を実現する立地のイメージや希望はあったのですか。

特定の立地をイメージしていませんでした。基本的にコンサルタントの山下明宏さんからの提案を待ちましたが、結果的にこの物件での開業は正解でした。最寄り駅からは離れていますが、私の専門性と駐車場が確保されているので診療圏は予想外に広く、ネットで検索され北摂地域や他府県からもお子さんを連れて来院される方がおられます。

新型コロナの影響を考慮して開業を半年延期されたということですが、順調に立ち上がっているようですね。

整形外科の場合、運動器リハを充実させようとすると、それなりの面積が必要となるなかで、山下さんの交渉とビルオーナーの理解があって、賃料を低く抑えることができたのが大きいと思っています。1日の患者数は100人前後ですが、お子さんの診療と運動器リハに力を入れるなどで、想定した診療単価を大幅に上回っています。患者数というより、開院1カ月時点の売上ベースで山下さんが作成した事業計画書の1年後の数値をクリアしています。

整形外科の運営では、看護師やPTなど多職種の連携が大切になりますが、チーム力向上のために意識していることはありますか。

PTの一人は開業にあわせて前職場から転職していただいた方で、私と同じ考えをもって赤ちゃんから高齢者まで診ることができる数少ないセラピストです。チームリーダーとしても彼の存在は大きいと感じています。朝礼などルーティンで行っていることはとくにはありませんが、勉強会を定期的に開催しているほか、私からスタッフへの日常的な声がけに心がけています。

ホームページを見ると、非常勤医師として浜野大輔先生と松尾篤先生が掲載されていますが、どういったことを担当されているのでしょうか。

浜野先生は大学院の後輩です。気心を知る医局の教え子でもあって、毎週水曜日のみ手伝っていただいています。松尾先生は脳性麻痺を代表とする障害者治療の泰斗で、全国の患者さんを診ておられますが、当院を関西圏の拠点として置き、予約制で対応しています。

学生時代は先生ご自身がアスリートで、現在でも筋トレを欠かさないということですが、スポーツ整形への対応はどうされていますか。

当院にはスポーツ整形領域に特化した非常勤セラピストがいて、患者さんからも高い評価をいただいています。スポーツ整形のアウトカムは一般的なリハビリとはコンセプトがまったく異なります。私自身も結構な数のアスリートを診てきましたが、医師のできる治療には限りがあって、スポーツ競技への復帰に向けたパフォーマンスを上げるためには、プロのセラピストの視点と手技は不可欠です。

経営はまだまだ十分な伸びしろが期待できると思いますが、クリニックの今後の成長戦略はどうお考えでしょうか。

基本は変えずに、小児に強みを発揮していきます。地域医療プラス総合的な整形外科、さらにスポーツも拡充を図っていきたいですね。そもそも子どもを診られる整形外科自体が少なく、存在もあまり知られていないので、ネット検索などで当院がヒットすれば、これまで以上に広域からの集患が期待できるのではないかと思います。

住宅地を背景にもつ立地ですが、需要の多い在宅診療への対応はお考えですか。

現在はマンパワー的に無理ですが、小児の訪問リハはやってみたい分野です。このエリアも訪問看護事業者が増え、子どもにも目が向けられているようですが、医療提供という面では質・量ともに不十分だと感じています。そこは我々専門家が介入して適切なチェック機能を働かせなければならないと考えています。

今回の日本医業総研の開業サポートは、先生にはご満足いただけましたでしょうか。

山下さんの人柄にもよるのでしょうが、「ここはこうするべき」という押しつけがましいところがなく、必要な情報を的確に伝えてくれ、あとは私が意思決定するだけというコンサルスタイルには好感がもてました。開業に必要な煩雑な手続き関係もキッチリと対応していただけました。

院長 𠮷田清志 先生

院長プロフィール

医学博士
日本整形外科学会 専門医
日本リハビリテーション医学会 専門医・指導医
日本骨粗鬆症学会 認定医
日本整形外科学会 リウマチ医
義肢装具士等適合判定医師
小児慢性特定疾患 指定医
難病指定医

2003年 大阪大学医学部 卒業
大阪大学整形外科 入局
関連病院(大阪大学医学部附属病院、大阪南医療センター、大阪府立母子医療センター、緑風会病院、大阪警察病院)勤務
2012年 大阪大学医学部大学院 博士課程修了
大阪大学整形外科 医員
2014年 大阪大学整形外科 助教(小児整形外科班長)
2021年 こどもとかぞくの整形外科 よしだクリニック 開設

 

Clinic Data

Consulting reportコンサルティング担当者より

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