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interview.4

蓄積されたノウハウを、独自の指標にまで昇華させてみたい

稲葉慎吾(2015年入職)

稲葉慎吾― 稲葉さんは昨年8月の入職ですが、前職も会計事務所だったんですよね。

 4年ほど勤務した前会計事務所では、常時40件以上のクライアントを担当してきました。クライアントの業種は多様でしたが、アーリーステージのベンチャー企業も含め比較的小規模な事業所が多く、代表者も20代・30代の方が大勢でした。皆さん血気盛んで、新たな事業領域に果敢にチャレンジしようとする意欲は頼もしいのですが、反面経営者としてのマネジメント力が伴わずに途中で資金繰りに窮する企業も少なくありませんでした。資金調達に関する相談に応じるのも会計事務所の仕事の1つなのですが、必ずしも前向きな話ばかりではなく、私自身の会計人としての成長や将来像が描けないことに疑問を感じていました。

― 日本医業総研に入職されて、印象はいかがでしたか。

 医科クリニックをクライアントに持ったのは初めてですが、税務・会計業務自体は法に則ったものですから大きな違いはなく戸惑いもありませんでした。ただ、社内の環境は前職とまるで異なります。内部での作業分担がしっかりとできていますから、私たち担当者はでき上がった数字を分析・評価し、提案をまとめ、院長と向き合うことに十分な時間を費やすことができています。

― クリニック院長をクライアントに持って感じられたことはなんですか。

 まず感じたのは、一般企業経営者と個人事業主であるクリニック院長の経営者感覚の違いです。
近年開業される医師の年齢が下がりつつあるとはいえ多くは40代、なかには大学教授を定年退官されて開業される方もいらっしゃいます。年齢もありますが、実現したい医療とブレのない理念をお持ちで浮足立ったところがありません。医療という極めて専門性の高いサービスが商品なだけに、地域での評価が定着すれば事業そのものは回ります。ですから、院長にとっての経営は商売に対する野心ではなく、ご自身のライフプランを大切にされているように感じられます。

― 稲葉さんご自身の、これから目指す方向性やチャレンジしてみたいことは?

 当社には、クリニック経営に特化した会計事務所として、これまで蓄積されてきた豊富なノウハウがあります。数値化できるデータもあれば、担当者の経験則や感覚値としての成功スキームもあるでしょう。これらノウハウをデータベース化し、開業成功の独自の指標や、多面的な比較対象となるベンチマークのようなものを構築してみたいですね。医業に特化したプロファームとして、法律と数値というエビデンスを強みにした新たなサービスを創出してみたいと思います。

― 日本医業総研への入職を検討されている方に先輩職員としてのアドバイスを。

 税務・会計業務について学べる環境は整っていますから、あとは本人のやる気次第です。ですから、入職に必要なスキルは会計の知識よりも、むしろコミュニケーション力だと思います。保険診療の限りにおいては、価格優位性はありませんから、業績向上はコスト管理と提供する医療サービスの質向上による増患がポイントになります。いきおい、院長との会話は試算表をベースにした経営評価の話から、人事労務、増患対策、競合との差別化対策へと広がることになります。その対応には税務・会計業務の枠を超えた、一定程度の経験や知識が必要になりますが、医業に専門性と強みを発揮する会計事務所スタッフとしては勉強のしがいのある領域だと感じています。