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LETS Review

Vol.07 「地域医療の窓口として、ブレないコンセプトを貫く」 ほか

November  2010

Prefatory Note
医療法人 橘会 常務理事 浅田俊勝 氏
病診連携こそが地域医療の原点


■病院機能を支える医師

先日、病院はじめとする全国の1万の施設を対象としたアンケート調査で、不足医師数が2万4000人超という報道がありました。OECDヘルスデータでも、2006年の日本の人口千人当たり医師数は2・1人、OECD平均の3・1人を大きく下回って、加盟国中、限りなく最下位に近い状況です。平均在院日数18日~19日と長くなっていますが、仮に10日程度まで短くなれば現在の一般病床数の90万床が恐らく40万床弱でカバーでき、大幅な病床削減で医療専門職の集中配置により急性期医療の質の向上と医師不足環境から脱皮できる可能性があります。

医師の養成は一朝一夕になるものではありません。しかし、医師がいなければ病院機能を維持していくことはできません。とりわけ急性期医療を提供する病院においては、医師の質(技量)はもちろんですが、一定数以上の医師数を確保できなければ、ごく短期的に機能を維持できたとしても、永続的に地域医療に貢献することはできません。

大学医局の支配という構図が崩壊しつつある現在、民間病院だけでなく医師確保は官民を問わず、すべての病院における最大の課題の一つでもあります。

■機能維持を連携に求める

東住吉森本病院は、平成15年に地域医療支援病院、そして平成16年からはDPC適用病院となり、大阪市南部の急性期医療の一端を担っています。この急性期医療(の経営)を患者の流れという視点で見ると、数多くの患者さんの入院を確保する一方、同数の患者さんに退院していただく必要があります。これは短い平均在院日数を維持することと、機能に応じた単価を確保するためです。

しかし病院単体でこの患者さんの流れを維持していくことは至難の業です。基本的なことですが、入院患者のルートは、自院の外来、救急(搬送)、紹介の3つしかありません。入院の確保のため当院が選択したのは3番目の紹介ルート、特に診療所との連携でした。そのため平成14年から、地域の診療所と大阪府医師会生涯研修指定の研修会を重ね、まずは診療所医師と病院の勤務医が地域医療における共通言語を構築できる環境整備に取り組んできました。

その結果、現在では登録医238名、入院及び外来(検査含む)紹介件数約1400件/月、上位40(17%)の医療機関から約700件という状況になっています。診療所との連携を重視するのは、入院患者の確保だけでなく、退院後の患者さんの療養の質の担保に重要だと考えたからでもあります。地域における医療の連続性を考えた場合、病院の責務として診療所との連携は不可欠と考えます。

良質な地域医療の確保は、病院、診療所それぞれが単独でできるものではありません。改めて病診連携こそが地域医療の原点であると述べて結びとさせていただきます。

(文責 編集部)

コンサルタントの独り言

『車内での出来事』

夕方のラッシュ時の電車内での出来事です。私の左横に陣取っていた女子高生グループが大音量でガールズトーク!周囲の人の迷惑も意に介さず、マイペースで騒ぎ続けるのも若さなのでしょうか。

ところで、今回の主人公は私の右横の女子大生2人組。おもむろに取り出した携帯電話で向かい合わせにメールのやり取りを始める彼女たち。普通に話しができる距離にもかかわらず、携帯メールでコミュニケーションをとっているのを訝しく思った私は、いけないと思いながらも、後ろからメールを覗き見してしまいました。

するとそこには、女子高生グループの悪口が満載。最近の若者の生態を垣間見て、少し背中が冷たくなるような経験でした。

私も含めた周囲の乗客は、誰も女子高生グループをたしなめることができなかったのですが、メールで鬱憤を晴らすということをどう理解すれば良いのでしょう。車内マナーと他人との関係の希薄さについて、考えさせられた時間でした。

大阪本社
マネージャー
柳尚信

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Directors Interview
いきいき杉山クリニック 院長 杉山肇 氏
地域医療の窓口として、ブレないコンセプトを貫く


横浜市保土ヶ谷区、旧東海道保土ヶ谷宿の遺構を史跡に現し、緑豊かな町並みが特徴的なエリアだ。

いきいき杉山クリニックは、横浜駅から相鉄本線で3駅の天王町より徒歩約8分、隣の星川駅とのほぼ中間地点に位置するテナントビルの1階に開業した。駅前立地ではないものの、背景に林立する団地と近代的なマンション群を抱く商店街に面し、近隣の大型スーパーとともに地域の生活動線の要といえる優位な立地を得ての開業だ。

■ネーミングに込めた医療コンセプト

-開業はいつ頃から意識されていたのですか。

7~8年前から、ゆくゆくは開業をと考えていました。医師の将来像として、病院勤務医として最上位のポストを目指すか、自分のクリニックで納得のいく医療を実現するのかを考えたとき、後者のほうがしっくりときました。

-勤務医のころからあたためておられた開業医像は。

勤務医時代に多くの紹介患者さんを診るなかで、クリニックと患者さんとのコミュニケーションがとれていないなという印象を持っていました。これではクリニックの本来的な機能を満たしません。地域医療の窓口である内科医として、患者さんが気軽に相談に来られ、顔の見えるコミュニケーションを大切にしたい。同時に、慢性期医療が中心になると、通院期間が長期にわたりますので、来院される度に、何か悩みが一つ減る、気分が切り替わる、そんな明るさを持って患者さんを受け入れるクリニックでありたいと考えました。クリニック名に「いきいき」を冠したのも、その思いを込めてのものです。

■決め手は、的確な事業計画とスピード、開業後のフォロー

-開業コンサルには、どのようなイメージをお持ちでしたか。

コンサル会社に依頼しようとは思っていたのですが、正直なところ懐疑的だったのも事実です。開業までは親身になってくれるが、開業後のフォローがまったく無い、とも先輩開業医から聞いていたので、不安が先にありました。そんな中、セミナーで医業総研を知り話をしてみたら、担当の小畑さんを始めスタッフの方に、誠実な印象を持ちました。開業後も事業が軌道に乗るまでフォローしていただけるということにも勇気付けられましたし、私の要望や質問に対するレスポンスの良さにも信頼をおきました。そのスピード感に乗るように、一気に開業へ進むことができました。医業総研と出会っていなければ、まだ悶々と悩みながら勤務医を続けていたかもしれませんね。

-医業総研のサポートは納得のいくものでしたか。

事業計画を策定する過程では、非常にシビアな数字を提示されました。「いくらなんでももっと患者さんは来るだろう」と少し憤慨しましたが(笑)。いざ開業してみると、なるほど事業計画通りに数字が推移し、損益分岐点をクリアしました。自己資金も少なかったので、厳しいことは覚悟のうえでしたが、それでも健全な経営が成り立つように、コスト管理も含めた計画がなされているのです。他に準備中に細かく指摘されたことも、開業後に実感する場面がいくつもありました。これが開業の実績数と蓄積データに裏付けられたサポートなのだと実感しました。

-開業から約1年半。地域での認知度も高まりましたね。

一つには、循環器内科を標榜するクリニックが近隣になかったことが大きな要因ですね。マーケティングの裏づけもあって、この立地を選んだわけですが、診療方針についても、ホームページを見て来院され、その後も通院される患者さんが多いという意味では、コンセプトは理解されていると思います。

-今後の課題は。

スタッフのフォローアップにもっと時間を持ちたいですね。開業前の研修では、コンセプトを徹底的に説明しましたので、十分浸透はしているのですが、さらに深化させるためにスタッフからの提案も積極的に取り入れていきたいと考えます。院長とスタッフがお互いに作り上げることが、帰属意識や連帯感を醸成するのではないでしょうか。

-これから開業される医師にアドバイスをお願いします。

勤務医の繁劇が苦痛で開業をするなど安易な考えはもっての外です。開業は決して甘いものではありません。医療と経営のすべての責任を院長自身が負うわけですから。まずこういう開業医でありたいという具体的なコンセプトやイメージを描き、何度も反芻し志にまで高めることが大切です。コンサルタントは、その志を事業計画に置き換え具現化するプロです。信頼できる人と二人三脚で、取り組んで行くことをお勧めします。

-ありがとうございました。

<<いきいき杉山クリニック>>
診療科目…内科・循環器内科
住所…横浜市保土ヶ谷区天王町1-27-7 大岸ビル1F
TEL…045-340-2755 begin_of_the_skype_highlighting            045-340-2755      end_of_the_skype_highlighting
URL…http://www.ikik-cl.jp/

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新連載 女性医師開業のススメ


女性の社会進出は、今やごく自然な状況ですし、様々な職種で女性の活躍が伝えられています。古い話ですが、戦後、強くなったのは女性と靴下といわれていた時代もありましたが、現実における女性の社会進出には、まだ高いハードルがありました。しかし、医療の世界では看護師に代表されるように、明治期以降、女性が大きな役割を果たし続けています。

司馬遼太郎の「花神」でも、幕末期、恐らく日本で最初の西洋医学の産婦人科医として、シーボルトの娘、イネが生き生きと描かれています。さらに明治時代、医籍に登録された最初の女性医師、荻野吟子や東京女子医大の創業者でもある吉岡彌生などの開拓者たちの努力もありましたが、女性医師は、様々な職業の中でも女性の社会進出のシンボリックな位置づけでもあったのです。

ところで、表は平成20年度における医療施設(病院、診療所等)に勤務する医師の年齢区分ごとの男女比率を示したものです。総数では、8割強が男性、2割弱が女性となっていますが、年齢区分で見ると、 歳以下の年代では35%以上が女性医師で、年齢が高くなるにつれ、女性医師の割合が減少していきます。これは結婚・出産等によって家庭に入ってしまい、その後、職場復帰の機会を逸してしまったことも大きな要因と考えることができます。

■病院勤務医の厳しい労働環境

結婚・出産等で一旦、職場を離れていく女性は何も医師に限ったことではありません。では、何が女性医師の職場復帰を阻んでいるのでしょうか。それには、病院勤務医という特殊な労働環境も関連していると思われます。

病院における常勤勤務医の平均的な週間勤務時間は70・6時間。月換算の時間外労働は100時間超という、過労死認定基準を上回るような過酷な環境が、女性医師の前にも立ちはだかっています。よって、子どもの出産を機にした生活環境の変化に、現状の病院勤務は適合しません。平成18年に決定された「新医師確保総合対策」の中でも、人材の有効活用の主旨から、女性医師の労働環境の改善を推進し、院内託児所の設置や、育児休暇の取得促進、勤務時間のフレックス化などを促してきましたが、運用できていないのが現実です。日勤中、託児施設やベビーシッターを利用することは可能ですが、当直勤務や、夜間の救急診療などに対応することに家族の理解を得るのは困難ですし、体力的にも持続するものではありません。そのために、診療所への転職や、非常勤のパート医に替わるケースが多く見られますが、それは必ずしも医師としての本位ではないでしょうし、逆にフラストレーションの要因にもなります。

■開業を目指す女性医師たち

昨今、理想とする医療の実現と、女性としてのライフスタイルをバランスさせた診療所の開業が増えつつあります。私ども日本医業総研でも、女性医師の開業サポートを数多く手掛けてまいりましたが、これまでの事例から開業の動機を整理すると以下のとおりとなります。

Ⅰ乳幼児の子どもを持つ場合
(1)労働環境と子育てが両立しない
(2)家族(夫)の理解が得られない
(3)パート勤務では、自らのキャリアを活かせない

Ⅱ独身、もしくは子どものいない家庭の場合
(1)病院の医療方針と、自身の目指す医療とのギャップ
(2)常勤勤務医を続けるうえでの体力的な不安
(3)親族の介護との両立

Ⅰについては、既に記したとおりです。Ⅱの(1)は、男性開業医と同様ですが、(2)・(3)については、やはり女性ならではの動機といえそうです。他には、夫婦ともに医師という家庭では、夫が臨床医や研究者、教育者としての顕揚を築き(目指し)、妻は開業にチャレンジするというケースもあります。

しかし、開業によって問題が解消される反面、安定収入を失い、さらにリスクを抱えますので、なかなか意思決定には至らないものです。果たして経営が成り立つのかという不安を抱かれるのは当然ですし、事業計画、立地選定、資金調達、スタッフの確保など一人ですべてを解決するのは至難です。私どものコンサルテーションにおいてまず重要視するのは、開業において目指される医療コンセプトと、不安要素についてじっくりとヒアリングをさせていただくことです。また、開業を必ず成功に導くことがコンサルの使命ですから、時には医師の意向を否定する厳しい指摘も申し上げます。そのプロセスのなかで、双方の信頼関係を醸成し、ベストな結論を導きだすことが大切だと考えます。次号より、事例を踏まえた、女性医師診療所開業の成功ポイントを考えていきます。

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勤務医のための医院経営塾 Part6
第2講『資金計画集中講座II』

前号の続きで今号はリース料の計算からご紹介していきます。医療機器をリースする先生方は多いのですが、リースの仕組みやリース料の計算方法について、ご存じでない先生方も少なくありません。本講座では、まず診療科別で実際に開業時に準備する医療機器の種類ごとの相場をご説明し、総額でどの程度になるのかを把握していただきます。次に、リース料の算出方法をご説明して、月々支払うリース料について電卓を叩いて計算していただきます。

前号でご紹介した内容と合わせ、ここまでで診療科や開業スタイルによって大きく異なるクリニックの運営費用が明確になります。それらの費用に加えて、一般的なクリニックの運営にかかる固定費(水道光熱費や広告宣伝費など)を合わせて、月額の総固定費を算出します。

次のステップは、損益分岐点売上高の計算です。これまでに計算した変動費、固定費を賄うために、月にいくらの売上が必要になるかという計算式をご説明して、実際に電卓を叩いて計算していただきます。その際、【1】固定費(高)変動費(中)、【2】固定費(中)変動費(高)、【3】固定費(低)変動費(中)、【4】固定費(中)変動費(低)の4つのパターンそれぞれの損益分岐点売上高をご説明します。そして、開業リスクを抑えるには損益分岐点売上高を低くすること。そのためには、固定費をいかに抑えるかが重要であることをご理解いただきます(図参照)。損益分岐点売上高の計算の際は、弊社のコンサルタントが参加されている先生方の横に付いてアドバイスを行います。また、先生方の診療科目に応じて、患者一人一日当たりの診療単価で損益分岐点売上高を割戻し、一日に何人の患者さんを診療すれば損益分岐点売上高を達成できるのかを計算していただきます。この患者数を見て、先生方も開業が現実味を帯びてくるようです。

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