2011年8月15日

独立を成功に導く開業指南 開業前に知っておきたい人事労務 第3回

書類選考と面接のポイント

応募者選考の基本は“じっくり・しっかり・男女で実施”。採用後に疑問を残すな

誤字・脱字の多い履歴書は×

当社で開催している「医院経営塾人事労務マネジメント編」では、
書類選考と面接の要注意ポイントを院長自身に導き出してもらう体験講座を行っている。
「どうすればトラブル要因となる人物を見極められるのか?」
「自院に合うスタッフを見抜くためには、何を質問したらいいのか」
「何を見て採用を決めたらいいのかわからない」といった声をよく聞く。
そもそも開業時に初めて履歴書を見たとか、選考に不安を感じている院長が多いように感じる。
しっかり選考できるか否かがその後の人事トラブルの有無を左右するため、応募者の選考は慎重に行っていただきたい。
まず書類選考について説明しよう。
送付されてくる履歴書には、応募者の性格が色濃く出る。
採用となれば診療所は1日の約3分の1を過ごす重要な場所となる。
その採否の“入り口”である履歴書の記載にベストを尽くしていることが大前提である。
通常、転職の多さや経験に目がいく。もちろん重要なポイントだが、誤字・脱字、修正痕などもチェックしてほしい。
本来、それらはすべて書き直さなければならないにもかかわらず送付してくるということは、
「常識を知らない」「面倒くさがり」「最終確認を行わない」などの性格が読み取れる。
履歴書を真剣に書けない人に、医療の現場を任せることはできない。

面接では人柄やスキルを確認

次に、面接について述べる。ポイントは3つある。
①Yes、Noで答えられる質問ではなく、本人に話させて人柄を探る。
②必要な経験は具体的な例を出して質問し、スキルを確認する。
③業務に差し支えそうなことは躊躇せずに細かく確認し、採用後に疑問を残さない。
たとえば、前職の退職理由が「組織の方針に疑問を感じるところがあったから」だとすれば、
また同じことを繰り返す可能性が高い。
「開業メンバーとして一緒にやっていける人物なのか?」
面接では、そのために必要なスキルと経験、人柄を限られた時間で具体的に見極めていかなければならない。
特に人柄は院長一人だと判断を誤る可能性が高い。
多角的に判断するためにも、院長が男性の場合は院長夫人など信頼できる異性に立ち会ってもらうべきだろう。
筆者の経験でも「あの子、愛想はいいけど、あなたとは性格が合わないわよ」という院長夫人のアドバイスを無視して採用した結果、
トラブルに発展してしまったケースが思いのほか多い。
「人生の一部を共有できるのか」「責任をもって指導できるのか」など、多様な視点から見極めてほしい。
特に職員の採用活動は開業の最終段階で行うだけに気がはやって、「数さえそろえばいい」と思いがち。
“じっくり・しっかり・男女で実施する”ことが、選考の基本であることを肝に銘じていただきたい。

高橋友恵 たかはし・ともえ
株式会社日本医業総研人財コンサルティング部マネージャー。診療所での人財育成に関するコンサルティングを担当。
診療所特有の労務管理業務に携わり、200件以上の関与実績を誇る

 

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