2011年8月15日

独立を成功に導く開業指南 事例に基づく人材育成 第8回

組織づくりの第一歩

目指すべきは仲間意識の醸成。経営理念を明確にし、オリエンテーションで堂々と語れ

チームワークで業務遂行

院長が主導する「活性化された組織づくり」は、開業前研修の初日に行うオリエンテーションが実質的なスタートとなる。
まずは、オリエンテーションに集まったスタッフをよく見ていただきたい。
これから一緒に仕事をしていくメンバーが全員集まった、緊張感と希望が入り混じった雰囲気のなか、
各スタッフは面接ではうかがえなかった表情や行動を見せはじめることが多い。
ここで「各人の性質」をある程度把握しておきたい。
言動を注意深く見ていけば協調性や積極性、各スタッフ間の相性などとともに、リーダーシップがとれる人は誰なのかという、
組織づくりを行ううえで必要となる情報を数多く見つけられるはずだ。
診療所の業務はチームワークなしに成立しえない。
そのため開業前の段階から採用した人材をどのように効果的に組み合わせていくかを検討しておく必要がある。
もちろん、短い研修期間で遂行するのは容易ではないが、適材適所を見極め、チームとしての意識づくりを心がけておきたい。

何事も最初が肝心

チームワークのベースとなる仲間意識をもたせるには、院長が立てた経営理念を浸透させなければならない。
そのため、院長はオリエンテーションまでに経営理念を明文化し、自らが率先垂範できるようになっていなければならない。
もちろん、院長自身が堂々と語って聞かせることも重要だ。
オリエンテーションに集まったスタッフは、自分たちの雇用主の院長がどういう人物なのかというだけではなく、
どのような方針で組織をつくっていく“経営者”なのかという点に興味をもっていることが意外と多い。
打ち出す方針は、明確であればあるほどスタッフの心に響きやすい。
本誌5月号でも経営理念を軸として、組織づくりの活性化を図っていくことが、いかに重要であるかを説明したが、
オリエンテーションは、まさにその第一歩となる。
当社が開業をサポートしている院長の多くは、開業準備をスタートする時点で方針検討会を開催し、
どのような診療所にしていくかというコンセプトとともに経営理念を早期に打ちたてて、それを軸に立地選定や事業計画の策定を行う。
スタッフ採用に至るまでの間に、さまざまな障害を乗り越えた先生方の経営理念の説明には説得力がある。
その後の経営理念の浸透作業も比較的スムーズに進んでいくケースが多い。
「最初が肝心」という言葉があるが、“最初”とはスタッフの初出勤の日でなく、開業準備をスタートさせた頃の志のことを指すのかもしれない。
機関車も最もエネルギーを要するのは発車時。スタッフを前に、堂々と経営理念を語れるようエネルギーを燃やしてもらいたい。

植村智之 うえむら・ともゆき
株式会社日本医業総研東京本社シニアマネジャー。過去300件の医院開業を成功に導いた同社の創業メンバー。
自身も50件以上の開業に関与し、そのすべてが軌道に乗っている。スタッフのモチベーションアップ研修、労務トラブル解決対策などに定評がある

 

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